クラシックレンジ200Tdi レストアレポート (5)

外装パネルに入ります。
特に腐食が無い車の全塗装はここからのスタートになります。

この車は過去にも全塗装されており、また、凹みの修理のためかかなりの部分にパテがたっぷり入っています。元の塗装もあまり良くありません。

通常、色を変更するだけの全塗装の場合、元色を剥離する必要はありません。元色を剥がした方が丁寧な作業だと勘違いしている方がいますが、問題の無い塗装を剥離すると、無意味どころか余計なリスクが発生します。できれば剥がさない方が良いのです。しかし今回は問題だらけですから、全剥離となります。

フェンダー

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ルーフ

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クォーター

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ドア

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まず問題がテールゲート。上からだと死角になる部分に腐食があり、穴が開いていました。ゲート上部から雨水が内部に入り、この段差に溜まるので内部から腐食してくるのだと思います。

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内部も酷く交換が必要になったので、手持ちの中古パネルを出してきたのですが、こちらもパテが分厚く盛られていました。

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クラシックレンジも部品取りが少なくなり、残っている車も結構雑な修理がされている場合があるので、状態の良い外装パネルはどんどん希少になってきています。仕方がないので手持ち最後の一つの部品を出して交換しました。

そしてドア。一枚はどうしようもなく内部腐食していて交換、もう一枚の腐食は一部だけだったので、腐食部をカットして補修しました。

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剥離、再鈑金が終わったらサフェーサーを入れます。

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そして各パネルごとに塗装していきます。

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小物も塗装

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そして組付けていきます。

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ABSポンプやエンジン回りの配線、ラジエータコンデンサも戻していきます。

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ここからは細かい部分ですが、フォグランプ用のステーを製作

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それから、テールランプやリバースランプを明るくするということで、メッキ加工に出してみました。かなり費用はかかりますが、かなり効果はありました。

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そして、ドアモールと、もっと古い年式の車両に付いていたというフェンダーモールも取り付けました。若干形状が違いますので、加工しています。

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さて、これで概ね作業は完了です。

次回、完成披露となります。

クラシックレンジ200Tdi レストアレポート (4)

前回はこの状態まで来ました。

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次はリヤクォーターのインナーパネル。内側の左右の壁です。概ね錆は無いので使えるのですが、耳の部分が腐食してほとんど無くなっています。

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ここは鉄板から作って溶接します。

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それから、リヤホイールアーチのアウターパネル。腐食する定番箇所です。ここは補修パーツに交換です。

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その裏側のパーツ。これは補修しました。

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インナーパネルと、それからホイールハウスインナーパネルを取り付けました。

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しかし無加工とはいきません。ここも年式の差で給油口の位置が違い、フロアサイドパネルのパイプが通る「避け」の部分がズレてしまいます。この避けの部分を少し前方に移設する加工が必要でした。

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左右のインナーパネルを取り付けたところで、ゲートとクォーターアウターパネル、ドアパネルを取り付けて位置合わせ。

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位置があっていたら、本組とパネルの継ぎ目にはシール打ちをしてインナーパネルの補修の鈑金作業は完了です。

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次は塗装に入ります。
室内は内板色で塗装。

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マスキングをし直して外部はボディ色で塗装です。

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更にピラー部を黒で塗装。

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これで本体は完了です。

次回からは外装パネルに入ります

クラシックレンジ200Tdi レストアレポート (3)

次は前周りの補修です。
もっと細かい単位でも出てきますので、部分的に補修したい場合はそれも可能ですが、今回は全体的に腐食がありますので、丸ごと行きます。

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丸ごととはいっても、丸ごと大きな箱に入ってくるわけではなく、右・左・前の大まかには3分割で部品供給されます。

片側ずつ仮付けし、左右のパーツをラジエターサポートで接続します。

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一旦ボディーパーツを戻して位置合わせ。

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問題が無ければ本組して溶接していきます。

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これで前回りは完成です。ちなみに、この時点でボディの塗装色が決まっていなかったので、インナーのパーツは内板色で塗装しました。


さて、難関のリヤ周りに入ります。

ボディクロスメンバーとフロアパネルを剥がすとこの状態。フロアの梁も錆が酷いです。

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完全にフロアを除去します。

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クォーターパネルインナー・ホイールハウスも取り外します。

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クロスメンバーも撤去

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補修パーツのクロスメンバーを仮組。フロアの梁は酷いものは新しく作り、使用できるものは錆取をして再使用しました。

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フロア用の補修パネルはバンプラ(ロング)との兼用パーツで、分割になっている後端部分を車の長さに合わせてカットして溶接するようになっています。

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これに左右フロアも溶接します。

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ここまでの廃棄部品一式です。

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完了したフロアパネルの裏面を塗装。防錆・断熱・防音効果のあるゴム塗料を塗装してみました。

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そして一体になったフロアパネルをボディに戻します。

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長くなったので、続きは次回です。

クラシックレンジ200Tdi レストアレポート (2)

作業のスタートです。
これはクラシックレンジの非常に良い点なのですが、このように腐ってしまう部分についてはほぼ全て補修パーツが販売されています。

今回はそれを一通り利用することにして取り寄せたのですが、予想通りと言いますか、ポン付けというわけにはいきません。やはりアフターパーツであることと、全年式を一種類で対応させようとしていることで、それなりの手直しが必要になりました。

まずはサイドシルから着手します。サイドシルはインナーパネル、アウターパネルからなり、角パイプのように中空になっています。まず、腐食したサイドシルを切り取ります。

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そして、アウターパネル、インナーパネル、ボディマウントブラケット、ピラーロワ等、バラバラで供給される補修パーツを仮付けし、位置を出します。

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位置が決まったら、一旦取り外し、溶接して組み立てます。

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その組み立てられたサイドシルをまたボディーに戻します。これでサイドは完了。

 

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次はキックパネルとフロントのフロアパネルです。キックパネルはシートに座ったときに足をのばした部分のサイドのところです。ここも補修パーツが出ているので、腐食した部分を切り取って交換します。

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しかし、問題発生です。新しい年式のクラシックレンジはサイドの壁の部分にリレーなどが設置されているので、そのスペース確保のために、外側に膨らんでいます。それに対し、補修パーツはもっと古い年式のものを基本にデザインされているようで、逆に内側に膨らんでいます。

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つまり、これをそのまま取り付けてしまうと、最後にリレーを付ける場所がなくなってしまいます。
ということで、加工が必要になります。
まずは補修パネルからサイドの壁の部分だけを切り取ります。

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そして元ボディから幸い腐っていなかったリレーのスペース部分だけを切り取り、その代わりに、餃子の羽根のような形状で鉄板を溶接していきます。

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それを補修パーツに戻し、ボディに溶接して完了です。

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そこにボディマウントブラケットを溶接。

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室内のフロアは補修パーツが無いので鉄板から作りました。

 

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これを右側も行い、フロントフロアとサイドは完了です。

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次回に続きます。

クラシックレンジ200Tdi レストアレポート (1)

引き取ったのは昨年二月。
足回りからの異音がするということでした。その原因はハブ周りで、それについてはすぐに修理完了しました。
それに加え、運転席助手席の足元の腐食を修理するということで、カーペットを剥がしていったところで大問題が発覚します。

フロアの補修用パネルは販売されているのですが、そのパネルを溶接して修理しようとしても、その溶接される相手側の境界部分もまた腐食しているという状態です。その相手側にも補修パーツがありますが、それを交換するための、さらに後ろ側の溶接点も腐食しています。これはいけないということで、外装パネルを一通り外してチェックしていくと、そこかしこに穴が開いていますし、開いていないところでもちょっと突けば貫通してしまいそうな状態のところが無数にあります。

こうなると、中途半端な修理はできません。一度溶接による補修パネル交換を始めてしまえば、ドミノ倒しのごとく補修部分は車全体に広がっていくことでしょう。フロア部分だけFRPシートでも貼りつけて穴を塞ぎ、他は見なかったことにしておくか、徹底的にやるかの二つに一つです。

徹底的にやるとすれば、普通のクラシックレンジなら、廃車すら視野に入る程の修理費用になります。しかし、この車は希少な200Tdiのディーゼルエンジンモデルです。いくらかかろうが廃車にはできません。完全な状態であれば500~600万円の価値はあるでしょう。何としても修理しなければなりません。結局のところ、このまま放置していたら遅かれ早かれどうしようもない状態になるということで、徹底的にレストアするということになりました。

まずは着手前の状態をご覧ください。

 フロントピラー下部&フロントインナーフェンダー後部&サイドシル前部

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センターピラー下部

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サイドシル後部 リヤホイールアーチ前部

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リヤホイールアーチ

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フロントフロア

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フロントウイング & バッテリートレー

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リヤクロスメンバー

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フロントルーフフレーム

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次回から作業の紹介です。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

値引きに付いて

 

 中古車の商談時に値引きを要求される方がいらっしゃいますが、基本的に当社は値引きをしません。
 基本的にというのは、オプションや外装の修理、カスタム等については、多少の値引きを入れたり、工賃無しで部品取り付けをしたりしています。それ以外については1万円以下の端数をカットするだけです。これ以上については交渉の余地はないです。あと1万円でも値引すれば契約していただけるとしても引きません。

 私は車屋さんの家に生まれましたので、新車中古車含め、交渉して車を買ったという経験がないのですが、家電などを買うときも値切れないタイプです。一応言ってはみることもありますが、無理だと言われればすぐ引き下がります。でも強引に交渉して値引きさせて買っている人も見ます。その度にああやればいいのかとは思うのですが、できません。そのため、交渉で値段が変わるというシステムがどうも納得がいきません。だから当社の販売車は値引きしません。

 その代わりと言ってはなんですが、納車前整備中に想定していなかった不具合が見つかってしまっても、赤字だろうと、何十万円かかろうと直して納車します。

 それから、色々なサイトを見ていると、諸費用を値切りましょうというような事が書いてあることが多いですが、これも当社ではおそらく無理です。

 まず、そもそも当社は整備費用はいただいておりません。必要だと思う整備は全て行うことが前提での車両価格だからです。あえて整備費用を別請求とするなら、当社の管理車両ではなかった車であれば100~150万円くらいです。逆に言えば、普通に中古車を買って当社で販売する車両と同じくらいのレベルで整備を行えばそれだけの費用がかかるということです。だから、同じ年式走行距離の車が他店で安く売ってるから同じくらいに値引きしてくれと言われても全く無理です。そういう事でしたら安いお店で買っていただければいいかと思います。ということで、最初からゼロのものは値切れません。

 登録納車費用については、店頭まで取りに行けば納車費用は必要ないから安くなるというような事が書かれているのを見ます。確かにこれはそうなのですが、それは地元(当社であれば豊橋ナンバー)の場合です。車の登録には購入者の地元の運輸支局に持ち込んで登録する必要があります。例えば東京に納車する場合は、車を東京の運輸支局まで持ち込みます。特にお客様から指定がない限りは、その足でお客様の指定場所までお届けする見積もりをお出ししています。登録納車費用と言っても、実際納車はオマケであり、自宅までお届けしても、豊橋まで持ち帰って店頭でお渡ししても、こちらの手間は変わりませんので、費用は全く変わりません。むしろ帰りもディフェンダーを載せてこないといけないとなると、積載車の燃費も悪化しますし、帰りに他の方の整備の車をピックアップするということもできなくなるので、逆に割増料金をいただかなくてはいけないくらいです。

 では、店頭まで取りに来て、登録もご自分でやるという場合はどうかと言えば、これは安くできます。ただし、ナンバー付き(当社名義や、まだ旧オーナー名義)の車は名義変更のトラブルがあるのでお断りします。ナンバー無しの車のみ、予備検査渡しでご自身で仮ナンバーを取っていただいて、地元の陸運支局で登録していただくことができます。
 しかし、この登録納車費用についても、当社はそんなに高い金額を取っていないと思います。積載車の往復燃料代、高速代プラス、一人分の人件費くらいのものです。あまりに遠方で陸送会社に登録納車を依頼する場合も、陸送会社から請求される原価で見積を出しています。ここで儲けようとは思っていません。
取りに来る交通費、帰りの燃料代、高速代、運輸支局まで行って登録する手間、任意保険に入らないまま走行するリスクを考えると、おそらくご自身でやられても割に合わないくらいの価格になっていると思います。それでもご自身でやられる方は、遠慮なくご相談ください。当社としては助かりますので、歓迎いたします。(本当のところは、遠方納車は私の息抜きの面もありますが)

 以上のように、カーセンサーや自社サイトに掲載している車両価格と支払総額(掲載されているのは県内登録の場合ですが)を比べていただくと、他の中古車販売店よりかなり諸費用が安いのがお分かりいただけるかと思います。つまり諸費用の方からも値引きの余地はありません。

 ということで、当社の中古車に関しては交渉次第で得をする(交渉しないと損)ということはありませんので、値引き交渉下手な方でも安心してご購入いただけます。