昨今のディフェンダー中古車事情について(2)

前回分

昨今のディフェンダー中古車事情について - asahimotors’s blog (hatenablog.com)

 

前回書いたようなことを踏まえて、最近のディフェンダーの中古車事情について書いていきますが、はっきり言って今の相場は高すぎます。
当社が基本的には在庫販売していないTDCiはもちろん、Tdi・Td5の値上がりが異常で、走行距離が少なければ当時の新車価格を遥かに超える金額で販売されています。人気があるものが高くなってしまうのは世の中の仕組みとして仕方がないのですが、20年ディフェンダーに携わっているものとしてはどうなっているんだろう?と思ってしまいます。

まず、仕様ごとに現在の相場感を書いていきます。(価格は2021年6月現在のものです)

古い方から順に。

Tdエンジン 
相場を語れるほどの台数は国内に無いと思いますし、古いので状態次第です。見たことは無いですが、しっかりレストアしてあれば、Tdiと大差ない金額にはなると思います。

200Tdiエンジン
これも台数が少なく、相場云々は言えません。年式が古い分、300Tdiより少し安いくらいだとは思います。


300Tdi&Td5&TDCi

ここからが中古車市場の主流のモデルになります。が、エンジンごとに説明する前にエンジンに関係のない年式による変更や、その他仕様の違いについて先に書きます。

ボディ等
300Tdiは94年から2006年まで、Td5は99年から2006年までと並行して生産されていました。
後述しますが、エンジンの差の他に、年式によって内外装等に若干改良が入るので、そのタイミングで価値が変わってくると思います。
まず、99年のTd5のリリースから、Tdiも含め燃料タンクが樹脂になりました。その次は2002年以降でインパネのデザインが変わるのと、バックドアがスチールになります。ここからパワーウインドウと集中ロックがオプションで選べるようになりました。特に集中ロックは2001年までのタイプのバックドアだとアクチュエーターを仕込むスペースが無いので、集中ロック化が大変困難です。また、ディフェンダーのドアの錆は大抵スチールのフレームとアルミのスキンの間に水が入り込むことで発生してくるので、全てスチールでできているものの方が錆びにくくなります。ということで、2002年以降がちょっと価値が高くなると言えますが、インパネの雰囲気は旧タイプの方が良いという方が多いように思います。次の変更点が2005年です。ここでサイドドアもスチールになります。これでかなり錆に強くなっています。クォーターのスライドウインドウもこの年式からリベット取付から接着式になります。これについては善し悪しで、脱着が非常に大変になり、フィルム貼り等、脱着を伴う作業の費用が上がってしまいました。
最後に2007年以降でモデルが大きく変わります。エンジンがTDCiになってエンジンの上下幅が大きくなったのに伴い、それを避けるためにボンネットの中央が盛り上がりました。内装も大きく異なりインパネ周りはかなり現代風になり、セカンドシートも幾分マシに、サードシートは前向きになりました。そして、クーラーではなくエアコンになって温風冷風が全ての吹き出し口からでるようになり、エアコン無し車であっても外気導入が可能になったせいか、ベンチレーターが撤廃されました。大きな雨漏りポイントがなくなったわけですが、これをディフェンダーのアイコンととらえていた方にとっては非常に残念な変更です。

以上が、エンジン以外の内外装等の年式による変更点となります。

ナンバー
ディフェンダーには1・3・8と場合によっては4ナンバーがあります。

1ナンバーは税金が安いと思い込んでいる方がいますが、それはアメ車やランクルのような大排気量の車の場合です。ディフェンダーディーゼル車は全年式で2500cc以下ですので、3ナンバーでもそれほど自動車税は高くありません。1ナンバーは確かに自動車税が安いですが、自賠責保険料は高くなりますし、高速代が高くなる、ETCの休日割引がなくなる、任意保険でも限定条件が付けられなかったりといったデメリットがあるので、3ナンバーの方が価値があると言えます。少なくとも、現在3ナンバーであるものをわざわざ1ナンバーにする意味はありません。それから、3ナンバーは関東と大阪の流入規制の対象外となるというメリットもあります。排ガス規制はNOX/PMの登録規制と、各自治体の流入規制(通行規制)があり、別物です。登録規制のない地域の方でも、流入規制は関係ない訳ではなく、規制不適合の1ナンバー車では、流入規制のある地域に乗り入れることは条例違反となります。例えば、静岡で登録してある規制不適合の1ナンバー車で、お隣の神奈川県に乗り入れるのは不可です。これは知らずに乗り入れている方も多いですし、自家用車が摘発されたというのは聞いたことがありませんが、違反であることは間違いないので、ご注意ください。
そういうことなので、正規輸入車は基本的には1ナンバーで排ガス不適合ですが、3ナンバーに変更してある車は、例え規制不適合であっても価値が高いことになります。そして、正規・並行に関わらず、3ナンバーのNOX/PM適合車というのが最も価値があるということが言えると思います。そして、最近3ナンバー化ができなくなってしまったので、その傾向はさらに強まっています。

8ナンバー福祉車両などで登録していない限りキャンピング車だと思います。8ナンバーは昔のように税金上のメリットはあまり大きくありませんが、それでも重量税は若干安くなっています。しかし、8ナンバーはその要件をしっかり満たしていればこそです。どうも昔のいい加減な輸入時の審査状況で、本来要件を満たしていない8ナンバー車が多いようです。エアベッド・カセットコンロ・ポリタンク等が荷室に転がしてあるだけ、場合によってはそれすらも無い状況で中古車が販売されてしまっている事例が多くあります。そういう車は、各ショップさんがキャンピングキットを持っていて、車検の時にそれを貸し出して通していた、またはペーパー車検のようなもので通していたということのようですが、当社ではそういう事は絶対に行いません。
違法キャンピング車は合法状態にして販売や車検を通させていただきます。しかし、中にはどうやっても合法状態にできないものもあります。乗車定員を減らさなければならないような場合ですが、乗車定員を減らすような構造変更をする場合、現行のキャンピング車の要件を満たさなければならなくなってしまいます。しかし、現行のキャンピング車の要件は室内高の要件が追加されたり、ポップアップルーフでもない限りディフェンダーではクリアできなくなってしまいました。そうかといって、先述のように3ナンバーに変更することもできなくなりましたし、1ナンバーも難しいようで、合法的にはどうにもならないということになってしまいます。(その車が過去に1・3ナンバーであった履歴があるのなら戻すことはできます)
そういうわけで、8ナンバーの車の購入は十分に気を付けてください。当社では当然ながら合法のものしか販売しません。

4ナンバーは非常に特殊です。基本的には貨物登録すると1ナンバーになるはずなのですが、ローダウンして車高が200cmを切り、オーバーフェンダーをカットするか、幅の狭いものに付け替えて車幅を170cm以下にすることで、4ナンバーを取ることができるようになります。4ナンバーは先述の1ナンバーのデメリットが無くなるので、非常に良いように思えます。しかし、4ナンバーを取った後でまたオーバーフェンダーを元に戻してしまえば違法になってしまいますので、車検に通せなくなります。車検の度にオーバーフェンダーを戻せばいいというものでもないので、購入を検討する車が4ナンバーであったらご注意ください。


さて、ここからがエンジンごとの違いですが、また長くなるので次回にします。

昨今のディフェンダー中古車事情について(3) - asahimotors’s blog (hatenablog.com)

昨今のディフェンダー中古車事情について

最近、中古車の問い合わせが非常に多いです。毎日のように問い合わせをいただいています。現在は自社のホームページにもカーセンサーにも情報掲載していないにもかかわらずです。これはカーセンサーに数台掲載していた時よりもはるかに多いですから、ディフェンダーの人気が上がってきているのを感じます。

何故情報掲載しないのかと言えば、在庫がないからです。

前にも書いたかもしれませんが、中古車の入庫はFACEBOOKで速報を出します。

https://www.facebook.com/asahimotors.net/

買取にいったら帰り道のサービスエリアや道の駅、店頭で引き渡しのものは直後に情報を出します。探されている方は、ページをフォローして、条件に合うものが掲載されたらお早めにお問い合わせください。
「こんな仕様の車が入荷したら連絡してもらえますか?」という問い合わせも多いのですが、それは行っておりません。希望される方が多すぎて、どなたから連絡するかで不公平になってしまうからです。

それから、当社は基本的には整備工場で、販売がメインではありません。よく販売メインのショップさんは、他店で購入した車の整備はしないとかいうこともあるようですが、当社は他店さんや個人売買で購入された車でも歓迎いたします。ただし、国内相場の高騰のせいか、最近目に付くようになった中古並行車(イギリス等海外で使われていて日本に持ってこられた車)はちゃんとしたところで買わないと本当に危険です。イギリスではディフェンダーは〇ポンドで売ってるのに、日本の業者は〇百万円で売ってる、どれだけボッタクっているんだというようなネットの書き込みを時々見ます。

これは認識が甘いとしか言えません。
当社はずいぶん前に中古並行から手を引きました。なぜなら、国内に新車時からある車と同等の状態に整備してから売ろうとしたら、利益が無いどころか100%赤字になるからです。この赤字になるというのも甘く考えてはいけません。整備から鈑金塗装から部品の輸入まで全て自社で行う当社で割に合わないのですから、他で合うわけがないと思っています。個人的には50万円でも要らないと思うような車が400~500万円でネットオークションで売れてしまっているのを見ると、これを買った人はどうするんだろうと心配になります。

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断言します。単純な年式と走行距離だけではなく、状態を加味すれば、日本の中古車市場はディフェンダーが世界一安いと言っていいと思います。特に10年以上経過した車に関しては間違いありません。もっとも、ここ1年程の急騰で多少怪しくはなってきましたが、輸入コストまで考えれば、海外から中古車を持って来ても割には合わないと思います。古い中古並行車は、国内市場で探すことが困難な仕様の車が欲しい場合とか、全てを覚悟の上で、自分でコツコツ仕上げていきたい場合を除いては、本当にお勧めしません。

それから、中古並行に関連して、最近何度か相談を受けましたが、年式による仕様の違いを良く把握してから購入を検討した方が良いです。エンジンはここをブラウザの翻訳機能でも使って読んでいただくと分かりやすいです。

en.wikipedia.org

国内で主に流通しているのは、ディーゼルはTd(ディーゼルターボ)、200Tdi、300Tdi、Td5、2.4TDCi、2.2TDCi、ガソリンはV8キャブ、V8EFIです。
この中で、あまり知識と覚悟、詳しいショップのサポートが無い状態で買われるなら、ディーゼルは200Tdi以降(できれば300Tdi以降)、V8はEFIにされた方が良いです。
Tdiは正規輸入でディスカバリーがありましたので、国内に部品も豊富ですし、エンジンについては日本語の整備書などもありますので、一般の整備工場さんでもその気になれば整備するのにさほど困ることは無いと思います。Td5も正規輸入がありましたので、同様です。ガソリンのEFIも同じです。TDCiはまだ新しくて、それほど壊れません。
問題なのはTdとV8キャブです。最近相談を受けたのもこの2種でした。まずV8キャブですが、アナログなだけに何があっても乗り続けられるというのは良いのですが、やはり好調を維持するのは大変です。デスビを始めとする電装周りに加えてキャブのメンテナンスも加わるわけですから、かなり大変になります。
それから、Tdエンジンですが、これに関しては国内の流通台数が少なすぎです。当社では今まで一台も入庫したことがありません。20年近く前に、一台だけボロボロの車を仕入れて、練習のつもりで内外装だけレストアして、販売するのは気が引けたので業者オークションで処分してしまったことがあるくらいです。パーツ入手はできないことは無いですが、これの専用部品が国内で在庫されていることはまずないと思います。それにTdは88(89)年までだったと思いますので、30年以上前の車ということになります。海外で30年以上乗られてきていると、どんな改造がされているか分かりません。分解前にパーツを用意して、いざ作業にかかると内部は全然違う年式の部品で組まれていたというようなことも考えられるのです。こうなってしまうと、実際の整備内容以上にコストがかかりますし、しっかり知識があって、部品形状からどのモデルのパーツが流用されているかということを判断できる人でなければ、まともに整備ができなくなります。これは当社でも自信がありません。80年代の車はほぼ未経験ですから。
更に機械部分ならまだしも、ボディにも海外感覚で適当に手が入っている車はもっと厄介です。雑に塗装や補修がされてしまっている車なら、まだ何もしていないで外見がボロボロの方がマシなのです。錆を下処理しなかったり、凹みの叩き出しもせずにパテを分厚く盛って、上から適当なマスキングで塗装されてしまっている車を手直しするというのは、普通にボロボロの車を直すより遥かに手間がかかります。

しかし、要注意なのは中古並行だけではありません。正規輸入車Td5も、もっと古いTdiも、いくら外観が良かったとしてもそろそろ本格的な整備が必要な時期です。足回りブッシュ、クラッチのオーバーホール、ハブ・スイベルのオーバーホール等、今まで一度も行われていなければ、もう行わなければいけないというメンテナンスはたくさんあります。こういう事が行われていない車であれば、購入後に次々に整備費用がかかることになります。
整備費用についてはフェイスブックに明細をアップしたことがあるので参考にしてみてください。

https://www.facebook.com/asahimotors.net/posts/4120351894647993

普通の中古車屋さんで買う場合、壊れていなければ(動いていれば)こういう作業を納車前に実施することはまずないと思います。一般の中古車屋さんレベルでの「しっかり整備してある」「状態が良い」とは、とりあえず走行に問題が無く、酷いオイル漏れがなく、エンジンオイルを交換してある程度の事だと思った方が良いです。上記の整備費用で言えば3~5万円くらいのものです。これが悪いということではありません。普通です。当社でも、もし他車種の20年落ちの輸入車の中古車を販売するならそれくらいの事しかやりません。というかできません。(もちろんそういうレベルでしか整備できないことをあらかじめ説明の上、それでも良いと言ってもらわなかったら販売しませんが)。

当社で販売した車が完璧であるというつもりは全くありません。ミスをすることもあります。そうでなくても登録前に十分な試運転ができるわけでもないですし(仮ナンバーでの試乗・試運転は違法です!)、長時間乗らないと発生しない不具合が隠れていたり、ランドローバーですから、納車前に交換した新品部品が不良品だったなんてことも時々あります。

ただ、分かっている不具合を放置したり、隠したり、明らかに本来の性能が出ていないのに気が付かずに納車してしまうというということはないはずです。

修理に持ち込まれた他店購入の車が、「よくこれで乗っていられますね」という状態であることは頻繁にあります。例えば、異音や不具合を確認するために高速で試運転をしなければならないのですが、不具合と無関係に足回りの状態が悪すぎて、その試運転すら恐ろしいのです。それが普通だと思って乗られているのは、オーナーさんにとっても車にとっても不幸なことだと思います。とはいえ、不具合があって持ち込まれているのに、別の不具合、しかもオーナーさんが気にしていることより概して高額になるようなことを指摘するのは非常に気が重いのです。
せっかく買われたディフェンダーを嫌いになってしまいはしないかと、いつも言葉を選ぶのに苦労します。しかし、できれば万全の状態で乗ってもらいたいとも思います。足回りのブッシュとショックアブソーバーを新品にして乗ってもらえば、印象が全く違ってくるはずです。ディフェンダーは、本当は真っ直ぐ走らないような車ではないんです。

あまりに長いので、次回に続くことにします。

次は最近の価格も含めて書くことにします。

昨今のディフェンダー中古車事情について(2) - asahimotors’s blog (hatenablog.com)

ゴールデンウイーク休業のお知らせ

誠に勝手ではございますが、GW期間中は下記の日程にて休業させていただきます。
4月29日     営業
4月30日     受付のみ営業
5月1日~5月5日 休業

 

パーツの通販も同日程で休業いたします。GW期間中に整備をされたいという方は部品はお早めにご注文ください。

 

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

全塗装について

全塗装のお問い合わせが非常に増えています。
そろそろTd5の年式の車の塗装が劣化してきているのと、価格が上がってきているので、せっかくだからきれいにしてもう20年乗ろうというような方が多いのかもしれません。

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現在塗装予約は約2年待ち、それも伸びる可能性も大きいです。大体1台1~1.5ヶ月の計算でこれですが、状態が悪かったりすれば2~3ヶ月かかる車もあるかもしれません。予約は電話やメールだけで、実物を確認していない車も多いです。「そんなに状態が悪くないですよ」と聞いていた車が実は・・・ということもあります。


それに、年に1~2台は入ってくるそれなりの規模の事故車の修理もあります。ドアとかクォーターパネル交換くらいのものであればそれほど時間はかからないので関係は無いのですが、横転車やフレーム修正を伴うようなものは全塗装と変わらないくらいの時間がかかりますし、作業スペースも占拠します。

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これを、「予約待ちで2年後にまた入庫してください」というわけにはいきませんので、優先して作業するしかありません。こういうのがあると、その分全塗装予約の方のお待ちいただく期間が長くなってしまいます。

それから、よく他車種の全塗装の相談をいただくことがあるのですが、基本的には全塗装はディフェンダーとクラシックレンジ、まだやったことは無いですがディスコ1だけとさせていただきます。

あれだけバラせるのだから、他の車もできるだろうと思ってお問い合わせしてこられるようですが、そう簡単ではありません。

一般の鈑金屋さん、修理工場にディフェンダーの全塗装を相談すると、断られることも多いと思います。多分、仕上がりに厳しいところほど断るのではないかと思います。
これは分解の作業工程が読めないからです。仕上がりを良くするためには、内装も外装もできるだけ分解してから塗装する必要があります。しかし、やったことが無ければ、分解するのにどれだけの手間がかかるのかはっきり言って分かりません。さらに、10年以上経過した車の部品を取り外すと、樹脂でできているものなど何が壊れるか分かりません。壊す以前に、一度取り外してしまうと再使用不可の部品もかなりあります。
大雑把な見積もりを出して引き受けてしまうと、大変な赤字を食らうリスクがあるのです。
金額の事は置いておくとしても、クリップ一個が壊れてしまったり、後から必要な部品が発覚したために、取り寄せるのに数日、国内に無ければ1ヶ月以上(正規ディーラー経由の場合)も作業がストップしてしまうなんていう事も珍しくありません。ディフェンダーの事を知らなければ、そういった部品が絶版で手に入らないというのも怖いと思います。
だからそうやってしっかり分解して仕上ないといけないと考えている鈑金屋さん程、気軽には引き受けません。逆に、気軽に引き受けてくれるところは、あまり分解せずにマスキングして塗装してしまうつもりかもしれません。全塗装のやり方はそのお店によって全く違いますので、依頼されるときは工程や内容をしっかり打合せして行うことをお勧めします。

誤解しないでいただきたいのですが、マスキングして塗装することがいけないと言っているわけではありません。費用対効果の問題で、パッと見でキレイであれば良く、不具合が出たらそこだけ後日やり直せばいいということであれば、それで十分です。
マスキングについては以前書きました。
https://asahimotors.hatenablog.com/entry/36576925
https://asahimotors.hatenablog.com/entry/36601500
ちなみに、9年前の記事なので、現在の推奨分解レベルはこの当時よりかなり上がってしまっています。経験を積み重ねることで、どうやればより美しく、耐久性がよく仕上げられるかというのが分かりますので、作業内容は日々進化しています。
そして、部品についても、何が壊れても作業がストップしないように、あらゆるクリップ類や細かい部品を在庫するようになっています。

そういうわけで、ディフェンダーの分解ができるからと言って他車種の分解ができるわけでもありません。それでもやろうとすると、無駄に時間がかかってしまいます。ということは無駄に費用がかかるということです。マスキングで塗装すればいいという方もいらっしゃるかもしれませんが、それならばそういう作業に慣れた業者さんに依頼した方がキレイになりますし、金額も安いのではないかと思います。

 

早期入庫予約のお願い

定期的に書いていますが、早期入庫予約のお願いです。

3月は年度末です。車業界が一番忙しい時期です。

それに加えて、おかげさまで当社は基本的にいつも忙しい状況です。

車検・点検等、予定が立てられるご入庫については、できるだけ早くご予約ください。

「今週末車検に入れていいですか?代車もお願いします」というのは、申し訳ありませんが現状では100%無理です。

代車が必要でしたら、予約は1ヶ月以上前から必要ですし、ここから1ヶ月程度は、代車が不要と言われてもお預かりするスペースすらない状況になりそうです。特に最近、他店で購入された中古車が調子が悪くて診て欲しいという依頼が増えてきているのですが、これに予定外、予想外の不具合を見つけてしまうというのが連続しており、予定通り作業が進まず、更には突然の故障の車も入庫して、入庫、出庫の流れが滞ってしまっています。手つかずで修理待ちの車が何台もあります。 

本来であれば、当社で購入いただいたお客様や、今まで入庫歴のあるお客様を優先したいのですが、そうかといって先に予約している方をキャンセルするわけにはいきません。このままだと、車検でさえ本当に入庫をお断りするしかない状況になるかもしれません。是非ともお早目の予約をお願いいたします。

 

それから、これも毎回書いていますが、

任意保険はロードサービスが充実している保険会社を選んでください。どうしても車が必要な場合は、代車特約も入っておいた方が良いです。

任意保険のロードサービスは自走不可能な状況になると、当社まで無料でレッカー搬送してくれて、代車特約に入っていればレンタカーも届けてくれます。この自走不可能の判定は保険会社によりますが今のところ大体甘く、異音がする程度の事でも搬送してくれたりします。ただ、無料搬送の上限は保険会社によって大きく違い、15kmというところもあれば費用30万円までというところもあります。いざと言うときに後悔しても遅いですから、ご自身の保険のロードサービスの内容をよく確認して、十分でなければ保険会社の変更も含めて考えられた方が良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中古車速報 2021/02/19

中古車速報です。

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96MY
90 300Tdi
AT
4人乗り
走行107000マイル
規制適合
車検 令和4年8月

3年前に当社でAT換装して販売した車両です。

https://asahimotors.hatenablog.com/entry/41479815

90のTdiは非常に数が少ないです。なぜ少ないかというと、90年代の新車当時、購入するときに、どうせなら110と考える方が多かったのと、輸入当時の排ガス検査の関係です。そして、その少ない90の中でも、更にNOX/PM規制適合の90は少ないのですが、これも輸入時の排ガス検査が関係しています。それについて説明すると長くなるので省略しますが、それだけでも希少なのに、更にAT化してあるという車です。

しかも状態も大変良い車ですし、内装も手をかけています。
荷室にはEXMOOR TRIMのロードエリアアコースティックマットシステム。仰々しいですが、縞板柄のゴムマットとウレタンシートが合わさっていて、防音、断熱機能があるものです。

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フロントは同じくEXMOORのモールディドマッティングシステム。これはシートボックスやミッション周りまで含む、ゴムの一体型のマットです。

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それから、MUD UKのバックドアトリム。旧型のベニヤ板タイプから2002年モデル以降のような樹脂のトリムに変更してあります。

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純正タコメーター。これだって5万円以上します。

 

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整備面も平成30年10月にキッチリ整備されていて、そこから11000マイルしか走っていません。

 

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f:id:asahimotors:20210219003212j:plainそれでも当然ながら今回も整備は行います。
実は入荷後の点検で噴射ポンプの漏れを見つけましたので、これもオーバーホールします。これだけでも費用は20万円以上かかります。

探してもそう簡単に見つかる車ではありません。


お問い合わせはinfo@asahimotors.netまで。

ABSの修理

ABSの警告灯なんて気にしなければいいというのが、ランドローバーに乗る人の認識だった頃もありましたが、現在はABSの警告灯は車検の検査項目になり、点灯していると合格しません。点灯していなければいいんじゃないかということで、電球を抜いたり、配線に細工をして点灯しないようにしても同様に不合格です。しっかり規定通りの、イグニションオンで点灯しばらくして消灯という動作をする必要があります。もっともディフェンダーの場合、時速7kmを超えるまで点灯し続けるというのが正常動作ですので、時々誤解されて不合格にされそうになったという話は聞きます。

今回は、本当に異常が検知されて点灯している場合の話です。
点灯する原因は色々あるのですが、一番多いのはシャトルバルブスイッチのエラーです。オートロジック等の対応する診断機で調べるとこんな表示が出ます。

 

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Shuttle valve switch electrical failure. Failure present.
Shuttle valve switch electrical failure. Failure logged.

present の方は現在エラーがある状態、loggedは過去にエラーがあってその記録が残っている状態ということだと思います。
presentが出ている場合は、警告灯は点灯しっぱなし、loggedだけの場合は、点灯したり消えたりを繰り返していることが多いです。

このエラーが出る場合、問題は大抵このユニットの中にあります。

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ということは、修理するためにはこのユニットを交換しなくてはならないかというと、そうとは限りません。たしかに、パーツカタログにはこのユニットは一つの部品として表示されていて、交換部品は出てきません。しかし、ランドローバーからは技術情報が出ており、これを修理するための部品が供給されています。
海外のサイトを検索すると、まずABSの修理としてシャトルバルブスイッチ交換の情報が出てきます。
この部品です。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/asahimotors/t1151.html
確かにこの部品を交換して警告灯点灯が直ることもあるのですが、その割合は高くありません。体感的には5台に1台くらいです。
警告灯が点灯するユニットの内、多くはこの次の段階に故障があります。それがこの部品です。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/asahimotors/t1150.html
シャトルバルブスイッチもこの中に含まれています。
ランドローバーの技術情報には、ディフェンダー用にはこの部品しか出ておらず、スイッチのみ交換は推奨されていないようです。
スイッチを単体点検して、スイッチが壊れていることが確定できれば、スイッチ交換だけで直ることが多いのですが、スイッチもその下も両方壊れていたということもあり得ますので、スイッチだけ交換すると二度手間のリスクがあります。

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スイッチ交換もリペアキット交換もほとんど手間は変わらず、結構大変な作業です。スイッチだけで直れば、費用は安く済むのですが、ハズレだった場合は二重になる工賃が痛いという問題になります。確実性を取るか、費用取るかというところです。
スイッチ単体点検でスイッチに問題が無ければ、リペアキット交換で良いと思います。実際は8割方こちらになります。

以上は、シャトルバルブ系のエラーで警告灯が点灯した場合に限りますので、センサーの異常や配線断線、スイベルピンのガタを拾っている等のエラーの場合は対象外です。何のエラーで点灯しているかは、対応する診断機を使わなければ分かりません。

シャトルバルブ系エラーについては以上なのですが、実際にはそれ以前の大問題が隠れていることもあります。実はTd5の結構な割合の車で、上記のリペアキットの更に下部のポンプ部の不良で、ABSが作動していないのです。この場合は警告灯は点灯しません。
ディフェンダーはABSユニットの中にエアが入った場合や、普通のブレーキフルード交換も、専用診断機を使えばABSポンプを強制的に動かすことで、楽に作業を行うことができます。しかしポンプが壊れていると、これができません。ということは、警告灯点灯の修理をしても、作業中にABSユニットの中に入ってしまったエアがなかなか抜けないことになります。そもそも、警告灯が点灯しなくなっても、ABSは作動していません。
それから、通常のブレーキ関係の作業で、フルードが完全に抜けてしまうとABSユニットの中にもエアが入ってしまい、抜けなくなってしまいます。
つまり、何よりも先にABSポンプが動いているかを確認する必要があるのです。ABSポンプが動いていない場合、残念ながらその時点でユニット丸ごと交換する必要があり、大きな費用がかかります。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/asahimotors/t1541.html
OEM品でこの価格ですが、ディーラーさんで純正品交換だと、なんと60万円だそうで・・・。
先にも書きましたが、ポンプが動いていなくてもABS警告灯は点灯しません。今普通に乗られている方も、実はABSは作動していないかもしれないのです。正常作動しているかどうか、確認ご希望の方は入庫時にお申し付けください。