ルーフの作業開始です。
タガネとハンマーでパテとFRPを除去します。
結構大変な作業です。
FRPは取れましたが、前の方にもかなりパテが盛ってあります。前の方はディフェンダーのルーフにしてはなんか平らだなと思っていました。
この辺りまでパテが入っていました。
どうもこの修正跡から推測するに、このルーフの大穴はサンルーフを取り付けてあったわけではなく、横転したか、立体駐車場やカーポートなどに突っ込み、ルーフを酷く歪ませ、その歪みが取り切れなかったために、歪んだ部分を切断、除去し、代わりにFRPボードを貼り付けて、段差をパテで埋めてあったようです。
本来結構波打っているディフェンダーのルーフを、ダメージによる歪みだと思ってほぼ全面パテを入れたのかもしれません。平らにするのはかなりの労力だったことでしょう。お客様が所有される前の修理のようなので、10年以上前の作業です。当時だったらルーフもそれほど高価ではなかったはずなので、交換してしまった方が良かったんじゃないかと思うのですが・・・。
さて、これをどうするか悩みました。交換の場合は部品代は110SWと変わらない100万円オーバー。とても無理です。
同じようにFRPを貼ることも考えましたが、どうしてもパテの範囲が大きくなりますし、割れたり歪んだりするリスクがあるのであまり良いことはありません。
ディフェンダーに慣れていない鈑金屋さんだと、どうしてもパネルの歪みが気になって、パテを入れて、ダメージを受ける前以上に平らな状態にしようとしてしまいます。それをやり過ぎることで、ドアならばドアハンドルの取付部等に負荷がかかってパテ割れが起きてしまったりします。しかし、ディフェンダーのパネルは歪んでいるものです。無駄なコストをかけて、修理箇所だけ違和感のある真っ平にされないように、普通の鈑金屋さんに修理に出すときはあらかじめ説明しておいた方が良いかもしれません。
ということで、今回はアルミ板を貼ってしまうことにしました。
まず、後部などの歪みを再修理して、最小限パテを入れて修理しました。
そして、サイズを指定してアルミ板を注文、それを残っていた骨材にリベットで打ち付けていきます。
最初は穴の周りだけと思っていたのですが、穴以外の部分の歪みも大きいのと、ロールケージが付いていた穴も埋められるので、ルーフのアールに沿って曲げて、雨樋まで持ってきてしまうことにしました。
サフェーサー
塗装
完成です。
どうでしょう。この違和感の無さ。アルミ板をリベットで打ち付けるなんていう修理方法は普通の車ではあり得ませんが、ディフェンダーはそもそもがそうやって作られている車です。写真のリヤコーナーのリベットは新車から付いているものです。それと比べてみても違和感がありません。予想した以上の完成度でした。
最大の難関をクリアしたので、後は細かい部分の作業になります。
全塗装時のオプション扱いの作業もありますが、車の状態や今後の使用状況来よって提案させていただいています。今までの経験から生まれた工夫です。当然、紹介しているのは一部で、色々なところに細かいポイントがあります。もちろん車検時やこの作業自体の依頼も承ります。
スライドガラスはガタついていて、カビ?苔?が生えていたフェルトを交換。
これはステーションワゴンのサイドのでも可能です。
ドアは錆びていたため、4枚全部新品交換。知らない方も多いのですが、新品ドア交換でも、ドアパネルの中身は別売りですので、ウインドウレギュレター、ガラスランチャンネル、配線等は古いドアから新品に移し替えます。これが結構大変な作業です。
防水シートはビニールハウス用ビニールで作ります。純正より丈夫ですし、透明で中も見えます。
今後できるだけ錆びないようにドア内部に防錆剤を注入。
クロスメンバーとフレームにも注入しておきました。
グリルとヘッドランプパネルはツヤ有ブラックで塗装。
組付け後は、よく雨漏りするポイントにコーキングをして、耐水テストも行います。
カーペットは組付け前に洗濯しておきました。
あとは各部を組み付けていけば完成です。
次回、完成披露です。