車検について

 車検時、特に今まで他の業者さんで車検をされてきて、初めて入庫される方はご注意をいただきたいのですが、当社は違法状態の車両の車検を通すということは一切行っておりません。また、違法状態の車を、検査の前に合法状態にして検査後に元に戻すということも行っておりません。
 当社は自社で検査を行う指定工場です。認証工場や認証工場でもないショップでは、持ち込み検査前に合法状態にして、検査後に元に戻してお返しするようなことをやっているところもあるのかもしれませんが、当社は自社で検査をするので、そんなことをするなら、ペーパー車検をしてるのと同じことです。違法状態の車の入庫拒否とは言いませんが、車検前に合法状態にさせていただき、車検後には合法の状態のままでお返しします。

 違法状態を意識せずに車検に持ち込まれてトラブルになることもよくあります。前回まではこれで通ったと言われても、それは前回に出されたところが目を瞑って通してくれていたり、見落とされて通ってしまったものなので、ダメなものはダメです。何とかしてくれと言われても、違法行為はできませんのでご了承ください。


以下、その事例の多いものを挙げますので、当社に車検を依頼される場合は、このような状態になっていないかをご確認ください。


1 ホイール&タイヤ
 
アルミのホイールで、車検に合格できるのは純正か、又はJWLのマークがあるものです。また、1ナンバー車に履かせる場合は、JWL-Tという貨物車対応のホイールが必要になります。

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ご注意いただきたいのは、このマークはアルミ製のホイールにしかありませんので、スチールホイールは関係ありません。以前、当社が販売した車を地元で車検に出したところ、JWLが無いから通せないと言われたということを聞いたことがありますが、その車が履いているのはモジュラーでした・・・

それから、タイヤのはみ出しにもご注意ください。最近の規制緩和で、3ナンバーは10mmまではOKとなりましたが、1ナンバー変わらず、1mmでもはみ出していたらアウトです。
よく問題となるのがモジュラーのホイールですが、これは同じようなデザインでもオフセットが違うものがあります。オフセット0のものは、235のタイヤを履くと僅かにはみ出しますので、1ナンバーには適合しません。ご注意ください。
それから、理論上はツライチに収まるはずでも、車の個体差、オーバーフェンダーの歪み、足回りのブッシュの劣化等で微妙にはみ出してしまうこともあります。そうなっている場合は、何らかの対処が必要になります。


2 シートベルト警告灯

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3ナンバーの輸入車の場合、平成7年4月以降に製造された車にはシートベルトを装着していない時に音やランプで警告を出す装置が必要になります。以前はこれについてのチェックが甘かったので、新車時の検査も無しで通ってしまい、その後も指摘されずに通ってきてしまっている車が多いです。それが何年か前から重点的にチェックされるようになりました。これが付いていない車は、後付けの回路を取り付けなければ車検に合格できません。

 

3 直前直左ミラー(カメラ)

これは2007年以降の車に必要です。これも以前はチェックも緩かったので、無いまま販売されてしまっている車が多かったです。それが大問題となり、チェックが厳密化され、更には取り付け方法にも非常に厳しい規定が儲けられるようになりました。販売店さんが新車販売当時にそれで通るということで付けていた追加ミラーでも、現在では通らなくなっていることもあります。特にディフェンダーは要注意車両と認識されているらしく、持ち込み検査ではかなり厳しく見られます。
なお、当社はこういう点で不正に通したと言われることを避けるため、初入庫されたり、前回の車検入庫時から関連部品の状況が変わっているTDCiについては車検場への持ち込み検査を行っています。
ミラー、カメラが付いていない、もしくは付いていても、持ち込み検査で落とされる状態の場合は、改善をさせていただきます。


4 キャンピングキット

90年代は、3ナンバーを取るのが難しかったのと、8ナンバーに税金的なメリットがあったので、キャンピング登録されている車が多くなっています。一部の販売店では、8ナンバー車であっても、キャンピングキットを付属させず、車検時にキットを貸し出して通しているようなことをしていました。または、不正を行う指定工場で、キット無しで通していたのかもしれません。当社はそういう事は致しませんので、8ナンバーの場合は、必ずキャンピングキットをご用意ください。キャンピングキットもただベッドやコンロやシンクなどが置いてあればいいというわけではなく、ベッドサイズや就寝可能人数、タンク容量など、細かく規定がありますので、それに対応しているものが必要です。

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5 座席数

TDCiで7人乗り登録なのに3rdシートを外してしまっている、5人乗り登録なのにセカンドシートも外してベッドになっているという状態では車検は通りません。必ず、規定人数のシートを取り付けてからご入庫ください。


6 ドッグガード

ドッグガードは便利装備ではありません。荷室とシート部を分ける仕切りとして貨物車の車検には必要なものです。これが邪魔だからと外して、処分してしまっている方がいますが、車検に通せませんので、必ず取っておいてください。もしすでに処分してしまったという場合は、純正である必要はありませんので、ホームセンターなどで似たようなスチールネットでも取り付けてもらえれば通せます。


7 ヘッドランプ
LEDのバルブや、レンズごと交換するものがありますが、これも車検に通らないことがあります。車検対応と書いてあっても、確実に車検が通ることを保証するものではありません。

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バルブは、さすがにPIAAとかIPF等の有名メーカー物は大丈夫であることがほとんどですが、使用するレンズとの相性もあります。安物については全く信用ができません。色と光量は車検の合格ラインに達していても、カットオフラインが全く出ていないものが多いです。レンズごと交換するタイプのものは、光を撒き散らしているので、運転していて明るく感じるものでも、本来照らさなければいけない部分、つまりテスターで測定される部分には十分照射しておらず、結局光量不足というものもあります。

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こういう点はどんどん改良されていくので、安くても大丈夫なもの出てきているのかもしれませんが、メーカー不明のLEDヘッドランプにされている方は、念のため純正品を持ってきていただいた方が良いかもしれません。(不合格で純正に戻した場合、車検後は純正のままでお返しします。)


8 その他灯火類
車のランプ類には結構厳しい規定があります。ランプの位置、色、点灯条件等です。それも年式によって基準が変わりますので、かなり複雑です。それでも、よく車検の時に指摘させていただくことを挙げておきます。

ルーフのランプ 
これは基本的には作業灯の扱いとなり、走行中に点灯できる状態であるのは違法です。地域により多少解釈に違いがありますが、運転席から操作できない位置にスイッチを付ける、サイドブレーキがひかれている時だけ点灯可能なような回路を組む等の取付をする必要があります。

フォグランプ
これはかなり複雑な規定があります。
平成18年生産の車になると、最外側から40mm以内という規定ができてきますので、昔の4WD車のスタンダードとも言えるこういうフォグの取付が違法となります。
それから、フォグ単独点灯はダメ、点灯時は社内にも点灯を知らせるランプが必要という規定もあります。
古い車両二はこの規定はありません。
さらにフォグランプが4灯同時点灯できるのも違法です。バンパー埋め込みフォグが4灯付いている車がありますが、これは切替スイッチを作り、2灯ずつの点灯にする必要があります。

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バックランプ
バックランプは1灯であれば左側、2灯であれば左右対称という規定があります。ディフェンダー(右ハンドル)は右側はバックフォグになっていて、バック時に暗いということで、クロスメンバー下などにLEDの追加ランプを付ける方がいるのですが、これも違法です。それから、左ハンドル車はノーマルでは左がリヤフォグ、右がバックランプですが、これでは違法なので入れ替えるか、リヤフォグを無くして左右バックランプにする必要があります。


9 オーバーフェンダー
オーバーフェンダー自体は違法部品ではないのですが、オーバーフェンダーを取り付けることによって車幅が変わりますので、構造変更をするために持ち込み車検が必要になります。ご存知ない方が多いのですが、構造変更をするためにはその車のナンバーの車検場に行く必要があります。他の地域の車は豊橋ではできないのです。例えば、品川ナンバーのお客様の構造変更をするためには、品川の車検場に持ち込む必要があります。費用をいただけばできないことは無いですが、相当な金額になってしまいますし、万一何かあって一回で合格できなければ、もう一往復するようなことにもなりますので、基本的にはお断りしています。(どうしてもと言う場合は、一旦抹消して豊橋で予備検査を受け、再登録するという方法は可能です。)

それから、これも勘違いされている方が多いのですが、全長、全幅、高さが変わったら必ず持ち込み検査が必要かと言えば、そうではありません。指定部品というものがあり、それに該当するものを取り付けることによって変更があっても、継続車検の場合は手続きは不要です。ルーフキャリアやグリルガードなどはこれにあたりますので、車検の時に取り外さなければならないのかと聞かれますが、そんなことはありません。


10 ナンバー区分
これはかなり特殊なケースなのですが、まず、一つ目がピックアップ車で3ナンバーになってしまっている車です。これも、車検時に荷台のアオリを外し、荷台全体に斜めに蓋をすることで「荷物が積めない」ということにして3ナンバーにしてあったようです。殆どがそんな状態では乗られていないでしょうし、そうなっていたとしても合法かどうか非常に微妙なので、もしその状態で車検入庫された場合は、持ち込み車検で運輸支局の判断を仰ぎます。

それから4ナンバー化です。ディフェンダーもオーバーフェンダーを外し(もしくはカットして全幅を小さくして)、ローダウンをすることで4ナンバーにすることができるようです。その状態のまま乗られているのなら何の問題もありませんが、元に戻してオーバーフェンダーを付けてしまえば、車検は通せないことはないですが、先に書いたように構造変更の持ち込み検査をして再度1ナンバーとして登録することになります。


以上のように列挙しましたが、細かい点はまだたくさんあります。
もし不安な場合は入庫前に写真を送っていただければ、外観からわかる点についてはご回答いたします。遠方から来られて、当社では車検に通せない車だということになると無駄足になってしまいますので、心配な方はご相談ください。