全塗装の話(1)

おかげ様で大変忙しい毎日です。
大変申し訳ないのですが、代車の関係もあり、入庫を制限させてもらわざるを得ない状況です。
点検、車検等緊急ではない入庫をご検討されている場合はできるだけ早めにご予約ください。

 さて、最近多いのが全塗装のお問い合わせです。
「全塗装はいくらかかりますか」というお問い合わせに、現物も確認せずに答えるのは大変難しいです。
また、現物を見たとしてもお客様がどこまでの仕上がりを望んでいるかで、費用は数倍も変わってきます。
今回から何回かに分けて、全塗装作業について書きたいと思います。

全塗装の価格の差は、どこまで部品を取り外して塗装するかというので大きく変わります。
今回紹介するのは他の業者さんで格安の全塗装をされた車です。誤解しないでいただきたいのですが、これが悪いというわけではないのです。それどころか、よくその費用でここまでの作業ができると感心させられるほどです。最初は価格を聞いてとんでもない手抜き作業だと思っていたのですが、塗装された車を見ると意外とそうでもありませんでした。リスクと仕上がりをお客様に説明して、お客様がそれを納得した上で作業するなら、大変リーズナブルな価格と内容だと思います。

この車は、ドアなどを取らずに外側だけ塗装してあります。ドアのような大物パーツだけではなく、ほとんどのパーツを取り外さず、マスキングをして作業してあるようです。部品を取り外さなければ、その部品の下は塗装することができません。

オーバーフェンダーを取り外すことなく、そのまま塗装してあります。

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オーバーフェンダーは完全に固定されているわけではないので、走行すれば振動で微妙に動き塗装が割れます。また、ズレた部分は下の元色が見えます。

こちら、はドアアウターハンドル。ここも微妙に動くところですので、下地が見えます。

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同じく、ドアのベルトモールディング(ガラスが出てくるところ)。

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ここはゴムですので、劣化すると縮んで元色のラインが更に幅広く見えるようになります。

同じく、アルパインウインドウとフロントガラス。ここは劣化してひび割れるので、更に格好悪いことになります。

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そしてドアヒンジ付近。

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各部品を取り外さなければこういう仕上がりになります。下色が見えてしまうということ以外にも、塗装の境目が外に出ていることになるので、劣化してはがれたりするリスクはより高くなります。

こういうところを全て取り外し、塗装した後に組み付けると仕上がりも耐久性も良くなります。しかし、取り外すには工賃がかかりますし、取り外してしまうと再使用できない部品もありますので、部品代もかかる事になります。

次回に続きます。