納車前整備

 フェイスブックを見ていただいている方はご存知かと思いますが、納車が連続しています。先月などは3日に1回くらいは積載車の中で寝ていました。これは11月に入ってからも続きまして、来週は広島&宝塚です。

さて、そんな納車の前には整備があります。
今回はその納車整備の一例をご紹介します。大きな画面で見ないと分かりづらいとは思いますが、明細を出しておきます。請求書とは違いますので、細かい部品などは省略してあります。

まずは1台目。走行は11万km。
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 メカニックからクラッチに異常を感じるという報告があったので、クラッチのオーバーホールをしました。結果はスレーブ側のプッシュロッドの摩耗。

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 レバーの穴に時々引っかかって、おかしな動きをすることがあったようです。
他には、お決まりのリヤのドライブシャフトとフランジ。これを放置するとスプラインが摩耗し、シャフトが空転して動けなくなってしまいます。(デフロックすると2WDで動けますけど)

次は46,000km。
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 正規輸入の110ですから、10年落ちで45,000kmはかなりの少走行になります。これを見ると、少走行だからと大した整備もなしで購入してしまう危険性をお分かりいただけると思います。まず、燃料ポンプとパイプの継ぎ目から燃料漏れを発見し、燃料ポンプ交換しました。
それから、注目はリヤのブレーキキャリパーのオーバーホール、ピストンの交換です。ディフェンダーのブレーキキャリパーはダストカバーがなく、ピストンが剥き出しになっています。走行距離が少ない車でも、というより少ない車ほどピストンをケアするスパンが長くなってしまいますから、メッキが劣化して錆びている車が多いです。パッド交換の際に錆びたピストンを強引にキャリパーに押し戻してしまえば、シールを傷めてフルード漏れなどのトラブルの原因となりますので、パッド交換の際にはピストンの状態を見極めて、必要ならば交換しなければいけません。

 もちろん、全ての車にこれだけの整備を必ず行うわけではありませんが、そうかといって上記2台の整備内容が特別多いわけでもありません。業者オークションで仕入れてきたり、専門店などで整備を受けて来なかった車は大抵こんな感じです。2台の整備内容を工賃も含めてざっと計算すると40~50万円といったところです。確かに、ここまでのことをしなくても全く普通に走ります。オイル交換だけで納車したところで、お客様からおそらくクレームは無いでしょう。大きく費用がかかっているクラッチや燃料ポンプにしても症状はごく初期のもので、1万kmや2万kmはそのままでも大きな問題は無かったと思います。でも、そこから先のコストは大きく違ってくるはずです。残念ながらどんなに整備しても、突発的な故障、予測不可能なトラブルというのは起きてしまいます。でも、予測できるトラブルの元はできるだけ潰しておくようにしたいと考えています。納車前の整備で不具合を見つければ、どれだけ利益を削っても整備します。上の2台だって、クラッチと燃料ポンプは正直予想外で痛かったのですが、仕方ありません。それから、保証期間中に保証対象の不具合が発生すれば、どれだけ費用がかかっても責任もって直します。

だからと言っては何なのですが、当社は中古車の値引きはいたしません。
それで今まで何台も商談を逃したことがあるのは自覚していますけど、仕方ありません。部品交換するかどうかの判断をする際に、「値引きしたから、これはそのままでもいいか」なんてことは思いたくありませんからね。