フューエルタンクベントホース

 Td5のディフェンダーで、走行中に急に失速する、ノッキングのような症状になるという車がありました。
コンピューター上にはこれといったフォルトは残っていません。
燃料ポンプ、燃料フィルターなどを疑って交換していきましたが改善せず、エアフロを交換してもダメ。
しかも、症状は時々しか出ないので、部品交換後の直ったかどうかの検証もままならないという厄介な状態でした。

実はこの症状、最初に発生したのは中古並行のTDCiでした。この時も後付の触媒など色々疑って試してみたもののダメでしたが、症状が出た時に給油したらしばらく正常に戻ったという話と、海外の掲示板に出ていた燃料キャップに泥が詰まって、キャップを交換したら直ったという話から、正解にたどり着けました。

原因は左リヤフェンダーの奥にある部品でした。98年以降の樹脂タンクの車についています。細いホースにバルブが付いた部品です。これが何をしているかというと、タンク内の負圧を開放、つまり外の空気を吸い込んでいます。このバルブが詰まったことが不調の原因でした。このバルブを外して、タンク側からエアブローしたら黒い泥の塊が出てきて、それ以降症状は出なくなりました。

ちなみにですが、海外掲示板のキャップ云々は、キャップにはベント機能は無いはずなので、密閉できないような品質の悪いキャップに交換したせいで改善したのではないかと思います。バルブなど当然のように詰まっていたのでしょう。

付いているのはここです。

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燃料タンク内の燃料はポンプによってエンジンに送られていきますが、タンク内のどこにも「抜け」が無いとタンク内の圧力は下がっていきます。タンクの中の圧力が下がると、ポンプががんばっても燃料をエンジンへ送ることができなくなります。これで燃料不足になり、ノッキング、ひどい場合はエンストになります。ECUが異常を検知してリンプモードというアイドリングしかできない状態にしてしまうこともあります。

さて、最初にTDCiの事例があったにもかかわらず、Td5の正解にたどり着くのに時間がかかってしまいました。これは、こんなのが詰まるのは泥道ばかり走って、洗車もしない海外の車だけだろうというのと、2.4TDCiはエンジン側についているポンプで燃料を汲み上げるから、少し負圧になるだけで影響するのだろう、タンク内の電動ポンプで押し上げているTd5、2.2ではこうはならないだろうという、2つの思い込みがあったからです。

 しかし、国内の車でもTd5でも、やはりこれは発生するようです。本日2例目の相談がありました。原因がこれかどうかを確認する方法は簡単です。症状が出た時に燃料キャップを開けて走って、症状が出なければ確定します。直し方も簡単。ホースを外して、エアブローじゃなくても口で吹いたら良いのです。

そして、もう一つ気が付いたことがあります。時々発生するこの症状で長期間悩まれていたお客様の車は、燃料ポンプの寿命が大変短かったということです。負圧になったタンクから燃料を押し上げるポンプには相当な負荷がかかっていたのではないか思われます。エンスト症状が出ない車でも、ここは定期的に点検した方が良いかと思います。

それから、これを書いていて思い出しました。
Td5の燃料フィルターですが、社外品は避けた方が無難です。特に青箱のアレ。交換すると、キーンという音がするようになることがあり、これも燃料ポンプに負荷がかかっているのではないかと思います。純正フィルターは社外と比べるとかなり高いですが、フィルター交換してポンプを壊したら何にもなりませんので、できるだけ純正を使ってください。