ヘッドガスケットリークテスター

Td5で長時間・高負荷で走行するとサブタンクのキャップから冷却水が吹き返してしまうというトラブルです。特徴としては

オーバーヒート症状なし
回転数が上がっていないとヒーターが効かない

オーバーヒートするほどではないものの、完全には冷却水が回っていないようです。サブタンクキャップ、サーモ、ウォーターポンプと水回りを順に交換していっても改善しません。次はラジエータかとも思ったのですが、ラジエータに水を回してみても特に詰まりもないようで、高額なだけに交換しまうのもためらわれて、少し考えました。

水が回らない原因を調べていくと、どうやら水回りのどこかにエアが噛んでいるようです。しかし、確かにTd5はエアが抜けにくいですが、普通は通常のエア抜き手順で抜けますし、それで抜けきらないとしても、少し走行してやれば自然に抜けていくはずです。となると、エアが抜けない原因があるか、もしくはどこかからエアが入ってしまうか。

入っているエアが抜けない可能性は、水回りをほぼ交換して潰しているので、エアが入っている可能性の方が高そうです。そして密閉されていて圧がかかる水回りにエアが入る場所といったら、それより高圧の場所、エンジンのシリンダくらいしかありません。つまりはヘッドガスケット抜け。オーバーヒートなどヘッドガスケット抜けの際の他の症状が無いので、確信は持てませんが、初期症状ならあり得るかもしれません。

そこで、ヘッドガスケットリークテスターというものを取り寄せてみました。ヘッドガスケットが抜けている場合、水回りには排ガスが混入しますので、ラジエータから上がってくる水蒸気を二酸化炭素と反応する試薬の中に通して、色の変化を見るものです。

こんな感じでセット。

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試薬の元色です。二酸化炭素に反応すると、これが黄色になります。

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1分程テストすると・・・

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黄色まではいかないものの緑になりました。
これがどれ程の物なのか分からないので、別の問題の無い車でチェック。

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濃く見えますが、室内なので光の影響です。肉眼では逆にちょっと色が薄くなったような気もしますが、ほぼ変化なしです。

ということは、ヘッドガスケット抜けが正解と考えて良さそうです。
ちなみにテスターに息を吹き込むと30秒ほどでこんな感じになります。

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人間のCO2排出量もなかなかのものなようです。

 これでヘッドガスケット抜けと考えて良さそうです。念のため症例をネット検索すると、海外の掲示板でいくつか同様の症状が出てきました。今回と同様、水回りを一式交換した後、ヘッドガスケットに辿り着いています。エンジンが冷めた後でも水回りにかかっている圧が残るというのも一致しました。自信を持ってヘッドガスケット部品を手配することにしました。
 しかし、部品納期等考えても年越しは避けられず、お客様には申し訳ないことになってしまいました。ただ、保証期間中ですので、お客様の負担を気にしなくていいのは不幸中の幸いです。(定価では20万円くらいかかりますので、当社にとってはかなり不幸ですが)
 納車前の整備は万全を期してはいますが、今回のような高速走行や長時間走行の時にのみ発生するような不具合は、事前に発見するのは困難です。また、今回もそうなのかもしれませんが、点検できないような部分が偶然納車直後に故障してしまったりすることもあります。主要部分は純正品を使うようにしていますし、社外品も経験によって、良いメーカー悪いメーカーが分かってきましたが、たとえ純正品でも納車前に交換した部品が不良品だったなんてことも無いとも言えません。油脂類の漏れも、前オーナーが漏れ止剤や粘度の高いオイルで漏れを誤魔化していた場合、オイル交換をすることで、効果が消えて漏れが発生してしまうなんてこともあります。
 そういったことに対処するために、保証期間がありますし、保証期間終了時にご希望の方には簡易点検を行っています。基本的には保証を受けるためには当社への持ち込みが条件になるので、あまり遠方のお客様は細かいことだと交通費の方が上回ってしまうかもしれませんが、それでもタイミングが合えば納車の帰り道に引き取るなど、何か方法があるかもしれません。保証期間中の不具合は遠慮なくご相談ください。