中古車チェックポイント 2

2回目は外装、ボディにしましょう。

中古車を見にご来店される方のほとんどがされる質問が「雨漏りはしますか?」です。

答えは、「します」
もしそう聞いて、雨漏りしないなんて答えが帰ってきたら、疑問に思った方が良いです。

この車体構造で雨漏りしないわけがありません。もちろん、きちんとケアすれば酷いものは止められます。また、お金に糸目をつけず何十万円かかっても雨漏りを止めたいということであれば、ボディを完全にバラバラにして全ての隙間にコーキングして組み立て直せば、完全に止められるかもしれません。でもそれでも一時的です。コーキングは劣化しますから、定期的に打ち直してやる必要があります。
 皆さんは雨漏りを体がびしょ濡れになるような酷いものだと思われているのですが、そこまでのものは余程メンテナンスができていないもので、大抵は前側の足元に垂れるか、垂れもせずに壁などを伝ってきて、カーペットが湿る程度の物です。

それから、個人的には雨漏りをあまり重大に考える必要はないと思っています。普通の乗用車は、雨漏りで水が車内に入ってしまうと、なかなか抜けません。普通の車は室内高を確保するために「フロアパン」というように床がナベ状に凹んでいますので、そこに水が溜まってしまいます。さらに防音材や、ちょっとやそっとでは捲ることができないカーペットが貼られてしまっていますので、それが水を含んでしまっても厄介です。

しかし、ディフェンダーの構造はこうなっています。

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簡単に床板を剥き出しにできます。水が入ってもカーペットを外してさっと拭けばOK。当社など、汚れの酷い中古車を仕上げるときは全部剥がしてデッキブラシを使って水洗いしてしまいます。

こんな車ですので、雨漏りを気にしても仕方がないとも言えますが、それでも入る水は少ないに越したことはありません。そういう訳で、こんなところを見ると良いです。

ルーフとフロントガラス枠の継ぎ目。

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ルーフの雨樋

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ルーフパネルの継ぎ目

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フロントガラスゴム

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アルパインウインドウゴム

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以上が基本です。

当社の販売車は直近の交換履歴が無い限り、フロントガラスゴム、アルパインウインドウゴムを交換、ルーフ等の基本的な浸水ポイントのコーキングをしたうえで納車しています。普通に工賃と部品代をを頂けば8万円程の費用となります。

それから、もう一つ重要な浸水ポイントとして、ドアパネル内部を通ってくるものがあります。ウォーターシェダー(スクリーン)という、ドアトリムの内側にある防水ビニールが破れていると、本来排水穴から外へ流れ出るはずの雨水が、室内に流れ込んでしまいます。

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こうやってドアを開いて水をかけて、どこから水が出て来るか確認すればOKです。
矢印のところから出て来るようだと、室内に入ります。

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ただし、シャワーで大量に水をかけて、100%入らないというのは無理だと思ってください。特に2005年以前の車は構造上完全には止められないようです。シャワーでかけて数秒に1滴程度なら、普通の雨ではそうそう入りませんので、許容範囲だと思います。

雨漏り箇所で最後はベンチレーターです。まずは動きが良いこと。結構固着している車は多いです。固着していると、しっかり閉め切ることができませんし、それでも無理に動かそうとすれば、ヒンジ部が曲がってしまいます。そして、パッキンとの当たりが良いか。ベンチレーター裏のパッキンを指でさわってみると、バルクヘッド側の縁の跡が付いているのが分かります。これがしっかり当っていれば問題ありませんが、ズレていれば雨漏りの原因になります。

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雨漏り関係はこのくらいにして、次はボディです。
見るべきところはドア縁。

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上記のウォーターシェダーでも説明しましたが、ドアの中には結構雨水が通っています。これが、融雪剤を撒く地域だったり、海の近くだったりすると、そういうものを含んだ水がドアの中を通ってしまうことになります。水はドアの下から抜けるようになっていますが、少しは残ってしまいます。そうなるとどうしても、ドアの下の縁が錆びてきます。程度の差こそあれ、10年も経った車ならほぼ100%ドアの縁には何らかの錆があると思います。ある程度年数の経った中古車では錆が無い車を探してもほぼ無理ですので、どの程度で許容するかになります。腐って縁がほとんどなくなってしまってるような車でも、使用上はそれほどの不都合はないので、あまり錆に神経質になる必要はないとは思います。本格的な補修となると、こんな作業になります。


この錆が少しも許せないとなると、かなり中古車の選択の幅が狭くなるので、ある程度で妥協は必要です。錆びていたら、錆転換剤などを塗って、その上からタッチアップをする程度で良いでしょう。もちろんここまで行ってたらちょっと考えた方が良いですが・・・

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外装編の最後はルーフパネル。
2002年以降のモデルから使われるようになった、縦溝の入ったルーフパネルは大変塗装が剥げやすくなっています。こんな状態の車は珍しくありません。

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塗装の質が悪いのか、溝に水が溜まるせいなのか、それ以前のルーフに比べると段違いの剥げ発生率になっています。中古車の外装は保証外が基本ですので、納車後に気が付いても後の祭りです。車高が高くて大変だとは思いますが、ルーフの塗装状態は必ずチェックしてください。

 外装は以上です。外装はチェックするのにそんなに知識は必要ないと思いますが、中古である以上、凹み、傷、錆はあります。どこまでこだわるか、妥協するかを考えて決めていただければいいのですが、基本的には、錆びたらそこだけ取り換えられる車ですので、あまり細かいことは気にせずに全体的に判断するべきだと思います。