納車整備 足回り&その他編

最終回は足回りとその他です






最終回も注意書きです。

今回紹介する作業を全ての車に一律に行うわけではありません。例えば、当社の管理ユーザー様からの下取り車で、整備履歴が完全に分かっていれば、保険的な整備は行わないことも多いです。そういう車は経費がかからないので、その分安く販売されています。

それから、部品を交換するか、オーバーホールするかというのも、車ごとに状態を判断して行っています。当社が交換しなくていいと判断しているものを無料で交換してくれというご要望にはお答えできません。もし、当社の通常の基準以上の整備をご希望の場合は、ご予算を指定していただければ、それに応じて追加の整備を提案させていただきます。その場合はサービス価格で対応させていただきます。また、この車は新品交換されているのに、自分の車は交換されていないというクレームもお受けできません。その場合は、その車はこの車よりも状態が良かったのでしょうし、別の部分ではこの車では交換する必要が無かったものが交換されているかもしれません。

掲載している価格は掲載日現在のものです。為替変動もありますし、ランドローバーの部品価格は急激に変動することがありますので、ずっとこの価格であるとも限りません。また、金額に含まれる部品代、工賃は当社で作業した場合の費用です。整備工場によってはもっと高い場合も安い場合もあると思います。


それでは納車整備も大詰めです。

ちょっと今回計算外だったのがステアリングギヤボックス。

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シール交換で直る場合もあるのですが、数ヶ月程度で再発してしまう場合もあるので、ASSY交換しました。複数の他社さんのブログにもシール交換では再発リスクが大きいという内容が書かれていましたので、間違いないことだと思います。お客様の所有車の場合は、リスクを承知していただいた上でシール交換も良くやりますし、3ヶ月ほど乗り切るとほぼずっと大丈夫なのですが、今回は中古車でしかも遠方への納車なので大事を取ります。高額なので痛いですが、仕方ありません。ホースも怪しいのでついでに交換します。

工賃含め約15万円です。

次に足回りです。ショックアブソーバーはブッシュが崩壊しかかっています。

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ブッシュだけでもいいのですが、乗った感じでは本来の性能ではないので、この際4本ともショックアブソーバーごと交換、ステアリングダンパーもブッシュが同様の状態ですので交換してしまいます。社外品ならそんなに高くありません。

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乗り心地に一番大きな影響を与えると思っている、Aアームのボールジョイントもブーツが破れてるので交換します。

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ここまでの合計が約8万円。

その他、足回りのブッシュも増し締め、点検をします。今回は特に劣化はありませんでしたので交換は無しですが、15~20万kmくらいの車は交換することが多いです。

一通りの整備が終われば、防錆塗装です。

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マスキングはこの程度まで行います。こうしておかないと、ボディにミストが付着してしまいます。ミストはかなり飛んでいますし、ディフェンダーの場合、ボディの隙間から流れ出て思わぬところに辿り着いていることがあるので、個人で缶スプレーなどで塗られる場合は車の自車の被害だけでなく、ご近所迷惑にならないようにご注意ください。

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防錆塗装料金は3万円です。


最後は見た目の部分です。
まずはヘッドランプ。

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10年交換されてないヘッドランプレンズは大体こんな感じです。最近厳しくなりまして、これだと車検も通らないことがあるので、交換します。ちょっと錆が出てるので周りのリングも交換。

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1.5万円程です。

そして、フロントガラスのゴムとアルパインウインドウのゴム。

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10年落ちで一度も交換されていなければ、間違いなくこうなっています。ただし、今回のお車は半年後に全塗装の予定ですので今交換しても無駄になります。ちょっと格好は悪いですが、今回はそのままでしばらく我慢していただいて、全塗装の際に無料で交換させていただきます。

ガラスゴムの合計で6万円です。

今回の合計です。
パワステ関係  15万円
足回り      8万円
防錆塗装     3万円
ヘッドランプ 1.5万円
ガラスゴム    6万円
合計    33.5万円

今までの5回分の合計です。

1回目       20万円
2回目       18万円
3回目       25万円
4回目       13万円
5回目     33.5万円 

整備費用合計 109.5万円

 ステアリングギヤボックスは計算外でしたが、これくらいの計算外はどの車にもあるので、全体的に見ればほぼ平均値です。当社は整備費用は車両価格に含むとしていますので、上記費用は実際には1円も頂いておりません。
 それから、繰り返しますが、この車の状態が特別悪かった訳ではありません。むしろ良い方です。オイル漏れはあるものの大したことではないですし、やらなければ車検が通らないという部分は、Aアームボールジョイントと、強いて言えばヘッドランプレンズくらいです。ほとんどが「やらなくてはならない」ではなく「やった方が良い」項目になります。この項目は、ディフェンダーの中古車を何百台と販売してきた中で、年々増えてきました。販売後の保証期間中に不具合が出れば、こちらは痛いものの、お客様被害は最小限なのでまだマシなのですが、保証期間終了後に壊れてお客様に修理費負担をしていただかなくてはいけなくなるのは、やはり申し訳ないのです。そういうわけで、壊れると走行不能になるような部分を中心に、かなり「大事を取った整備」を行っています。最近は我ながらちょっとやり過ぎだと思わないでもないですが。それでも、これだけやってるから壊れないなんてことは口が裂けても言えません。電装品などは何の前兆もなく突然壊れますし、長時間運転しなければ発生しない不具合などは、どうやっても納車前には発見できないこともあります。それどころか、時々は交換した新品部品が不良品なんてこともあるのです。これを英酷品質と呼ぶそうですが。そのあたりは保証で対処させていただきますので、ある程度はご理解いただくしかありません。

 さて、今まではこれだけ経費をかけても何とか常識的な価格で販売することができていました。しかし、最近は業者オークションでも高値になってしまい、想定している価格で販売できるような金額では仕入れることできなくなっています。そのせいで先月末にはまともな在庫車が2台になってしまうという異常事態に陥ってしまい、自分の中での仕入価格と販売価格の上限を引き上げることにしました。今までは他店の販売価格を参考にして、相場程度か、できれば安くすることを目標にしていましたが、これからはそうもいかなくなると思います。今回のこの連載はいわばその言い訳をさせていただいたということになります。長々とお付き合いありがとうございました。