昨今のディフェンダー中古車事情について(3)

 それでは、各エンジンごとの現時点での相場感です。かなり私の主観も入っており、なるべく最近の相場に慣れるようにはしてきているのですが、まだ納得できていない部分もあり、若干低めかもしれません。また、この記事を書き始めたのが、5月末でしたが、この1ヶ月で更に上がった気もします。それを考慮してお読みください。

300Tdiエンジン

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1995年~2006年(モデルイヤーなので実際は94年9月~)と長期間搭載されたエンジンですので、相場としては広くなりますが、現在の状況だとまともな状態のものであれば、古くて30万kmくらい走っていても400万円を切ることは無いと思います。
300Tdi以前の車は全て並行輸入車ですが、2006年以前の並行輸入車の場合、輸入してきたときの重量などの条件にもよりますが、排ガス規制(NOX/PM規制)が適用除外のような扱いとなり、規制適合扱いとなっている車がほとんどです。(90の場合は重さの関係でちょっと無理をしないとできなかったようで、不適合も多い)そのため、一般的な車と違い、正規輸入車より並行輸入車の方が価値があることになります。それに加えて、Tdiは電子制御が無いことから、整備がしやすい、部品が安いというメリットがあることが知れ渡ってしまい、非常に人気が出てしまいました。ただし、価格に関して言えば、現在の相場はエンジンの違いなんて全く理解していない中古車屋さんが何でも買い集めることで形成されてしまっているので、Tdiでも正規Td5でもほとんど変わりないように思います。それでも、Tdi限定で探している方は多いので、入庫したら売約となるのはTdiの方が早いです。
当社の販売価格としては、ある程度内外装がまともな状態で、走行距離問わずという条件で、90年代のもので500万円~、2002年以降の後期インパネのものであれば600万円~、それで走行距離が少なければ750万円以上になる場合もあると思います。

 

Td5エンジン

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99年からのランドローバーがBMW傘下にあった時期のBMW製のエンジンです。2002年から2004年の正規輸入車は全てこのエンジンが搭載されています。型式は2001年までの10P、2002年からの15Pがあります。ヨーロッパの排ガス規制対応のために15Pになったようなので、体感上10Pの方がパワーがあるという意見もありますが、大差は無いと思っています。正規輸入車は基本的には1ナンバーの貨物車で、NOX・PM規制不適合になります。正規輸入車にはこれを1ナンバーのままで規制適合改造したもの、規制適合した上で3ナンバーしたもの、規制は不適合のまま3ナンバーにしたものがあります。時々、3ナンバーにすれば規制適合になると思っている方がいますが、3ナンバーは流入規制の対象外になるだけで、NOX/PM(登録)規制適合になるわけではありません。登録規制地域外で登録してあれば、流入規制のある地域に乗って行けるようになるだけで、登録規制地域で登録できるようになるわけではありません。何度も書きますが、登録規制と流入規制は別物であることにご注意ください。
Td5エンジンの車の相場ですが、Tdiの方がマニア人気があるというか、Tdi限定で探されてる方が多いものの、実際として高騰が行くところまで行ってしまってる感もあり、後述するTDCiの相場が上限になるので、どちらでも大差が無いと言えます。それでも、Td5は99年以降、数の多い正規輸入車は2002年以降ですから、Tdiよりは新しい車が多くなります。99年~2001年は並行輸入車で規制適合車がほとんどなので価値が多少高く、2002年以降の不適合1ナンバーの正規輸入車と同等で550万円~、2005年以降の最終のモデルで距離が少なければ750万円以上にもなると思います。
それから、価格的には大差は無いと書きましたが、正規輸入車で、1ナンバー車のNOX/PM規制不適合車については、NOX・PM規制地域外にお住まいで、関東や大阪の流入規制地域にも乗っていくことが無い(もしくは違反を気にしない)という方しか買えなくなりますので、競争率が下がります。そのせいか3ナンバーの適合車に比べれば、即売約ということにはなりにくかったのですが、今は変わりないのかもしれません。

 

TDCiエンジン
2007年から2011年の2.4L、2012年からの2.2Lがあります。
新車販売当時、2006年までの排ガス免除がなくなったので、日本への輸入が大変になり、それまでの車に比べて台数が極端に少なくなりました。
その後2012年に純正DPFが搭載され、ガス検が通しやすくなったのか輸入量が急増しました。台数が増えてノウハウができたせいか、2.4も中古で結構入って来るようになったようです。この年式からは免除の規定がなくなって、NOX/PMより厳しい輸入時の排ガス検査をパスしていますので、全てがNOX/PM適合車になります。時々、排ガス規制が必要ない地域なので、排ガス検査なしでイギリスにある車を輸入してもらえませんかという問い合わせがあるのですが、そういうわけにはいきません。
TDCiのメリットとしては、高速走行性能のアップ、セカンドシートの快適性アップ、サードシートが何とか使えるようになった、クーラーではなくエアコンになったというような点です。
デメリットとしては高性能化に伴う複雑化で、整備が大変になったことに尽きると思います。同じ並行輸入車であっても、Tdiは整備に専用診断機などは必要が無いですし、Td5は正規輸入車があったので、受け入れてくれるディーラーであればメンテナンスが受けられますし、時々ヤフオクなどでディーラーの日本語整備書なども流出(違法コピー?)しているので、やる気のある整備工場さんであればかなりのところまで整備ができると思います。それに対してTDCiは日本語整備書がありません。英語整備書を読んで整備してくれる一般整備工場さんはかなり少ないと思いますので、その時点ハードルが上がります。
それに加えて、TDCiからは部品交換後の設定(キャリブレーション)等、専用診断機が無ければどうにもならない整備が格段に増えます。コンピューターが何か異常を感じると、すぐに警告灯を点灯させたり、安全モードに入ってしまって加速しないようにしたりすることもあり、性能が良いのも善し悪しがあります。
そして、知っている限り、こういう事に一通り対処できる専用診断機を持っているショップは国内に数件、そのうち半分くらいは他店で購入した車の入庫に対してはかなり冷たいようです。ディーラーさんの診断機はもちろん使えるのですが、並行輸入車を受け入れてくれるところは少なく、受け入れてくれるところでも、やはり英語マニュアルを読んで整備というのはなかなかしてもらえないようで、ごく簡単なこと以外は断られてしまうことが多いと聞いています。
中古車では、この年式になると、新車から日本で乗られていた車両には極端に状態の悪い車というのは少なくなります。2.4(2007年~11年)はそれなりの車もありますが、そもそも新車から国内で乗られていた車の数が少ないです。TDCiになると800万円くらいから、走行距離の少ないものは900万円くらいからではないかと思います。中古並行物なら状態等に応じてもう少し安いものもあるかもしれませんが、購入するショップは慎重に選んでください。当社は基本的にはTDCiは在庫しませんが、ご希望があれば注文販売は受付させていただきます。

 

以上がディーゼル車の相場ですが、ガソリン車もあります。と言っても110のガソリン車は少なく、国内にあるガソリン車はほとんどが正規輸入の90です。
正規輸入の90はV8のATで、ディーゼルマニュアル車が基本のディフェンダーの中で、限定車の扱いになります。正規90には北米仕様の左ハンドルと、50周年記念の右ハンドルがあります。ディーゼルに比べれば自動車税も高く燃費も悪いので、10年くらい前まではかなり不人気で、150万円もあれば買えた時代がありました。しかし、海外特に北米で人気が出てしまい、まず北米仕様でそのままあちらで登録できるらしい左ハンドル車が高騰し、その数が少なくなると右ハンドルまで価格が上がりました。右ハンドルでも登録できるようになる25年ルールの適用を見越しているのかもしれませんが、最近は下手をすれば110よりも高くなってしまいます。国内でもディフェンダー人気が高まったことから、多少燃費が悪くてもATで気軽に乗りたいという需要が高まったのもあるかもしれません。90V8は98年~2000年ですが、価格としては500万円~というところだと思います。
90V8の注意点としては、限定車であるだけに絶版部品がそこそこあるということです。TdiやTd5の場合、例えランドローバーが供給終了にしても、台数が多いだけにどこかの社外品メーカーが部品を供給し続けてくれるはずです。しかし、限定車の場合は需要が無いので、ランドローバーが供給終了にしてしまうと、他モデルの部品を加工して流用したり、ワンオフで製作したりという手間が出てきます。今後、特にそういったノウハウが必要になってくると思います。90V8も、積極的には在庫していませんが、ご希望があれば注文販売は可能です。

 

また次回に続きます。