ディフェンダー110 ダブルキャブピックアップ 限定車 全塗装レポート(2)

作業開始です。
今回ロールケージ(フェイスガード)を撤去することになりました。この限定車のロールケージは90V8の正規輸入車に付いているものとは異なり、後部はフレームに固定されていません。90V8は内側にもフレームから立ち上がったバーがあり、ルーフパネルを挟んでそれと接続されていますが、この車はルーフに固定されているだけです。そういう意味ではロールケージというよりフェイスガードというべきものですが、これを通して車体の捩れがまともにルーフに伝わってしまい、そのせいでパテ割れが起きた可能性が高いと考えました。この時点ではルーフをどのような方法で修理するかは決まっていませんでしたが、パテを全くなしで補修するのはまず不可能だろうと思われたため、できるだけルーフに負荷をかけるのは避けるべきでした。
また、どちらにせよロールケージ自体の錆が酷く、補修するためにかなりの費用がかかってしまうという理由もありました。

ということでボディの分解を始めたのですが、いきなり躓きます。

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フロントフェンダーとロールケージのブラケットが外れません。ロールケージはフロントフェンダー内部でフロントピラーにフェンダーパネルと共締めされているブラケットに接続されています。

つまり、取り外しの手順としては、ロールケージ本体を取り外した後、


1 前方の隙間からアクセスしてピラー上のフロントフェンダーとロールケージブラケットを固定しているボルトを緩める

2 フロントフェンダーを取り外す

3 ロールケージブラケットを取り外す

という順番になります。

しかし、このブラケットとボルトが錆びて一体化していて緩みません。緩みませんというか、ボルトの原型がありません。

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しかし、この場所では焼き切ることもできませんし、削り落とそうにも工具も入りません。
それでも右側はたいした問題ではありませんでした。フェンダー前方が歪んでいたため、当初から交換予定だったからです。遠慮なく切り裂いてボルトにアクセスします。

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問題は左側です。

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こちらはフェンダーに大した問題は無かったので、現物修理で塗装するつもりでした。しばらく試行錯誤していましたが、どうにもならず、お客様と相談してこちら側もフェンダーを破壊して取り外し、新品交換させてもらうことになりました。フェンダーのロールケージを取り外した部分には大きな四角い穴が残りますので、当初はそこをアルミパネルを打ち付けて埋める予定でした。しかし、両側そうなっているならまだしも、左側は新品なので跡はなくなり、違和感があるだろうと思っていたので、結果的には良かったのかもしれません。

フェンダーを取り外した後も作業が続きます。ボディーの外装パネルを外して行くと、予想通りというか、各部に錆が出ています。

センターピラー

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サイドシル

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補修しました。

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バルクヘッド下部、フロントフロアです。

 

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ここは結構複雑な構造で、鉄板が入り組んでいます。腐食している部分をカット、二重構造になっているのでそれぞれのパネルを分離します。

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内側のパネルを剥がしたところ。

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フロントピラーの腐食部もカット

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補修用のフロアパネルと、それではカバーできない分を鉄板から作りました。

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できた補修パネルを溶接。

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完成です。

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これで本体の内部の補修は完了です。次は外装です。