消えるクラッチフルード

イギリスから中古で並行輸入された後、メンテナンスで入庫された車です。
色々と要整備箇所が見つかったので、順次整備を進めています。定番のクラッチフルード漏れがあるようで、マスターシリンダーのフルードが空で、調べていくとクラッチマスターから漏れがありましたので、真っ先に交換しました。

しかし、その後、他の異音の確認などで一晩試運転しただけで、翌朝にはマスターシリンダー内がまた空になっています。しかし、もうマスターからは漏れていませんし、ホースやパイプ、ベルハウジングからも漏れの形跡が見られません。不思議に思いながら、もう一度フルードを補充し試運転しても、やはり翌朝には空です。マスターシリンダー2杯分以上のフルードがどこに行ってしまうのか、全く分からなかったのですが、色々調べていて、この画像に行き当たりました。

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ミッションを車に残し、エンジンを取り外したところの写真のようですが、ベルハウジング内の後方に液体が溜まっています。これを見て気が付きました。TdiやTd5と違い、漏れたオイルを排出するための穴は、ベルハウジング最下部ではないのです。つまり、車両がかなり傾かない限り、相当量が内部に溜まらないと、外へは漏れ出してこないことになります。

これを確認するために、車両後部だけをリフトアップしました。

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すると

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予想通り、排出穴からフルードが垂れてきました。スレーブからの漏れが確定です。
よかった、これで安心・・・・、とは言えません。
Tdi、Td5と違い、新型はスレーブシリンダーとレリーズベアリングが一体になっています。ということは、スレーブシリンダー漏れ = クラッチオーバーホールです。しかも、簡単に交換できる旧型と違い、社外品の安物を使ってすぐ漏れたら痛すぎますので、高くても純正品以外は使えません。
他にもいろいろ費用がかかっているので、更なる追加は心苦しい限りですが、これはやらざるを得ません。

ということで、2007年以降の車で、マスターから漏れている形跡が無いのにフルードが減る場合は、下り坂に停車してみてください。