個人輸入と社外部品

ディフェンダーにお乗りの方は、簡単な整備などは自分でされてしまうことも多く、イギリスから部品を個人輸入される方もいらっしゃると思います。今はネットで自動翻訳サイトなどもありますし、最低限の英語力があれば、誰でも簡単に部品の輸入が可能です。海外で売られているディフェンダーの部品には安価な社外品も多く、上手に使えば維持費をかなり抑えられるでしょう。

しかし、です。あちらの人間の品質管理の杜撰さを甘く見てはいけません。
その一例がこちら。ボンネットのスペアタイヤマウントの部品です。

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一個はまだマシですが、もう一つは何年かボンネットの上に置かれていたんじゃないかというような状態です。でも、朽ちたビニール袋に入っていましたので新品であることは間違いなさそうです。

さて、上の例は「よくこんなのを平気で送ってくるな」ということで、部品商の意識の低さの問題なのですが、こちらはメーカーの方の問題です。

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これはテールランプなのですが、何が問題かお分かりになりますでしょうか?
ソケット内の端子が不均等で、さらに曲がっているのです。いくらやっても接続できません。何とかドライバーで突付いて取り付けようとしたのですが、ダメでした。こんな状態なのに、横にはこんなステッカー。

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QC=クオリティーチェックでしょうか。だとすると、この状態でパスってどういうことでしょう?結局このロットは全滅でした。

 上の2例は、被害額としても大したことありませんし、テールランプはレンズ部だけ使えばいいので、さほど大きな問題ではないです。マウントの部品はちょっと予想を超えていましたが、まあ何とかできます。当社が社外品を使うのは基本的にはこういった部品です。

1、不良品である事が一目で分かる。
2、不良品だったときに交換、手直しが容易。
3、価格とリスクのバランス。

 社外品を使う場合は常にこういうことを考えておかないといけません。最近はオークションなどにも部品が出ていますが、安いからといって飛びついてしまうと痛い目を見るかもしれません。

 ただ、社外品の全てがダメなわけではありません。社外品の中にもグレードがあり、純正部品供給メーカーが作っているOEM品や、明らかな問題点をなかなか改善しないランドローバーに代わって、純正品には無い工夫をして改良された部品もあります。そういうものを賢く使っていけば、意外とディフェンダーの維持費はかからないものです。

 個人輸入をされる方の中には、本国での販売価格を知っていて、国内の部品業者、各ショップやディーラーの販売価格をボッタクリだと思われている方もいるかもしれません。しかし、必ず発生する不良品によるロスや、その際の保証の経費などを考えると、ある程度は上乗せして販売させていただかなければ割に合わないのです。また、オークションなどで安価に売られている部品と、ショップが知識と経験で選んで販売している部品とは、同じに見えても違うかもしれません。その点はご理解いただきたいと思います。


最後に、社外品を使わない方がいい部品(当社が痛い目を見た部品)の一部を挙げておきます。

クラッチマスタシリンダー スレーブシリンダー
これの社外品の安いやつは本当に安いです。しかし、品質は酷いものです。かと言って、純正品はとても高いし、純正品でもすぐ漏れるときは漏れる。そんなわけで当社はここ数年はOEM品を使っています。

ウォーターポンプ
これも純正品と社外品の価格差が結構ありますが、ポンプの軸がポロッと抜けるという事例がありました。重要部品ですので、純正品のみを使用することにしています。

Td5燃料ポンプ
これが過去の被害額では最大かもしれません。4個取り寄せて3個不良でした。中古車販売前にポンプから音が出ていたので交換、交換直後から異音で再交換、1ヶ月ほどでポンプからまた異音で交換、2週間ほどでポンプ停止。結局純正品に交換となりました。最後の一個が残っているのですが、もう怖くて使えません。同様に、燃料フィルターも異音や、ポンプへのダメージの原因になるようですので、高いですが純正をお勧めします。

クラッチ関係
クラッチ交換後にクラッチが切れなくなる。結局不良品はプレッシャプレートでしたが、クラッチ交換×2と原因の究明で膨大な手間と時間を浪費しました。

ハブやデフなどのシール関係
縁の材質が柔らかく、打ち込みにくい場合があります。