インダッシュ → 吊り下げ

90ピックアップが終わったので次のプロジェクトです。
このベンチレーターの部分が黒くなったタイプのディフェンダーをご存知でしょうか。

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90年代までの車に多いです。このタイプの車の多くがボディにストライプの入ったカウンティというグレードで、インダッシュエアコンが取り付けられています。ディフェンダーのエアコン(クーラー)といえば基本は吊り下げ式で、ダッシュ下に付けられたクーラーからは冷風しか出ません。温風は完全に別系統で、フロントガラスのところと足下しか出ないのです。

 これに対して、このインダッシュエアコンは文字通りエアコンです。正面の吹出口から温かい風も冷たい風も出ます。更には内気循環の機能もあり、機能面はこちらの方が上なのです。では、こちらの方が 人気があるかというと、残念ながらそうではありません。デメリットもあるのです。そのデメリットとは・・・・

1 「ディフェンダーらしさ」である、ベンチレーターがなくなる。

 新型もこれがなくなり、不評が出ましたし、この黒いカバーがかっこ悪いという意見も 聞きました。

2 複雑な事をしているだけに壊れやすい。

 このシステムは温度の切り替えや、内外気の切り替えを負圧を使ったソレノイドで行っています。このホースが外れたり、漏れたりするせいで、内外気の切り替えフラップ が動かなくなったり、冷風は出ていても常に温風も混ざるとか、ちょっとしたトラブルも多いのです。そのせいでこちらのタイプのエアコンは効かないと思っている方も結構いらっしゃるようです。中古車を購入されるときに、これを元に戻して欲しいという話は時々頂きましたが、莫大な費用がかかるので実際作業される事はありませんでした。

 しかし、このエアコンが新車時から付けられているとすると、既に15年以上経過しているわけで、やはりガス漏れなどの不具合も出てきます。その修理はできない事はな いのですが、部品がなくて汎用品を加工しなければならなかったり、手間がかかる事も あります。当社には外注でそういう作業をしてくれる電装屋さんがいますので、問題ありませんが、遠くへ販売した場合は修理で困る事も出てくるでしょう。そんな訳で、この度、以前から考えていた事にチャレンジしてみる事にしました。

インダッシュエアコンを取り外し、新車当時にはなかった純正吊り下げクーラーを取り付けるのです。

まずはバラシ。
コンデンサを取り外します。邪魔なのでラジエータも取りました。

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エアコンユニットを摘出。

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フェンダーも取ります。

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右下は内気循環用の穴。インダッシュ車にしかないものです。

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これは塞ぎます。ここで衝撃の事実が。

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 お分かりでしょうか。ベンチレーターの穴が開いていません。あの黒いカバーは穴埋めの為のものだと思っていたら、何と穴はないのです。つまり生産ラインからインダッ シュエアコン付の車として生産されていたのです。てっきり後付なのかと思っていまし た。そう言われれば、バルクヘッドにベンチレーターのヒンジは付いていません。
という事は、ここをカットしなければならないわけです。それからヒンジもつけなければ。ヒンジは部品として単体では出ていないようなので、作るか、部品取り車から毟り取るか・ ・・

 その他、内部にしてもこんな感じです。

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一体何を撤去して、何を取寄せたらいいのやら ・・・パーツリストと照らし合わせてもイマイチ分からないので、思い切って中古車を 一台分解してみる事にしました。かなり前途多難です。