中古車チェックポイント 1

2月3月は自動車業界の繁忙期です。
年度末で車の乗り換えが多い時期ですので、販売も多いですし、それに伴って車検も多くなります。ディフェンダーの入荷も販売も一年で一番多くなる時期です。当社でも年明けから急に中古車の問い合わせが増え始め、既に在庫車が少なくなってきています。

そんな中古車を検討されている方のサポートをするために、何回かに分けて、中古車の見るべきポイントを書いてみようかと思います。

では、まずはスイベル。フロントのタイヤの内側を見てください。こんな感じでグリスが漏れてると要注意。

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こうなっているものはスイベルシールが悪いか、内部のベアリングの不良でガタがあるかです。ただ、漏れてなければ良いかというと、そもそも入っていないなんていう最悪の状態である場合があるのでそれはそれで気を付けなければいけません。グリス不足で、しかも融雪剤がまかれる地域で使われていた車は、このスイベルハウジングの表面のメッキが劣化して、凸凹になってしまっていることがあります。

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こうなってしまうと、いくらシールを交換していてもグリスは大量に漏れてしまいます。このハウジングはかなり高くつきますので、中古車確認時にはハンドルを左右いっぱいまで切って、ここが虫食い状態になっていないか確認する必要があります。

こういう状態なら、シールもハウジングもOKです。

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次は、このブログでも時々書いていますが、ブレーキです。ディフェンダーのブレーキピストンには国産車の多くに付いているようなダストカバーが付いていません。ブレーキパッドが減ってくるとピストンが露出してしまうのです。ピストンにはメッキがしてありますが、ブレーキ時には熱を持ちますしどうしても錆びてしまいます。

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 時々、清掃して露出部にグリスを塗ってやれば寿命は延びますが、基本的にはブレーキパッド交換2~3回に1回は交換が必要になる消耗品と考えていただいた方が良いかもしれません。このようにパッド交換時に錆びたピストンを強引にキャリパーに押し込んでしまえば、シールを傷つけてフルード漏れを起こすか、そこまで行かなくてもピストンの動きが悪くなってブレーキの引きずりやパッドの偏摩耗の原因になります。

 当社で販売する中古車で、正規輸入車の年式=10年落ち以上のものは8割以上、上記のスイベル、ハブのオーバーホール、ブレーキキャリパのオーバーホールとピストンの交換を行っています。もちろん、点検して問題が無ければ無駄に行うことはありませんし、当社のお客様からの買取車の場合はやらなくても良いことが多いのですが、業者オークション仕入や、専門店で整備されてこなかった車の場合はほぼダメです。

 例えば、このハブ・スイベルオーバーホール、キャリパーのオーバーホール、ピストンの交換を一台分行えば、最低15万円程かかってしまいます。これに加えて、スイベルハウジングやハブベアリング、スイベルピンベアリング、シャフト、フランジなどの状態が悪ければ、最大ではその倍ほどの金額がかかります。

 中古車を購入される際は是非とも、ここは確認してください。ブレーキはタイヤを取らないと見えないので、納車前に確認してもらえるか聞くと良いでしょう。一般の中古車屋さんは、整備の手抜きとか、状態の悪さを隠すというのではなく、ここをケアするべきだということを知らない場合がほとんどです。こうなっていても、暫くの間は普通に乗るのに問題は殆ど無いですし、車検も通ってしまいます。おそらく、納車後に指摘したところで、保証対象などにはならないと思います。こうなっている中古車を買う場合は、追加費用を払ってでも、対応をしてもらう方が良いでしょう。
 それから、走行距離が少ないから大丈夫だろうというのも、甘いです。上記のポイントなどはむしろ走行距離が少ない車ほど、状態が悪いことが多いです。なぜなら、よく使われている車はハンドルを切る度にスイベルハウジングにグリスが塗られるようになりますし、良く走行してパッドが減る車はピストンもパッド交換の度にメンテナンスされますので、かえって状態が良いことが多いのです。10年で3~4万kmという少走行の車ほど、上の写真のようになっていることが多いです。

 これがいつも言っている、走行距離が少ないだけで高くなっている車は意味が無いということです。走行距離が少ない車は今までほとんどメンテナンスなしで来られてしまっているので、かえって要整備箇所が多いのです。もちろん、当社の車は少走行でも必要ならばしっかり部品交換しています。だから、かなり高くなってしまいますし、逆にまともに整備したら誰も買わない価格になってしまうというような車には手を出しません。そのため、当社の在庫車には10万km以上の車が多くなってます。ちなみに、そうやって業者オークションなどで買わなかった少走行車が、一般中古車店で「少走行!極上車!」みたいに書かれて、整備費用別途、保証無しで売られてしまっているのを見ると、ガッカリしてしまいます。

 それでもそんな車が売れてしまうから、味をしめてまた買うということで競争が激しくなり、少走行の中古車相場はどんどん上がっていきます。そして少走行がそこまで高いなら、多少走行が多くても高くても良いだろうということで、過走行車も相場が上がり気味です。この異常相場を何とかするために、まずは、できれば走行距離が少ないだけの車を高く買うことは避けていただきたいと思っています。

 とは言いつつも、生産終了で注目されてしまいましたし、今後もまだ上がっていくのだろうとちょっと諦め気味でもあります。