風評

 このブログだけ読んでいただいていると、ディフェンダー専門店の様に思われるかもしれませんが、当社は60年以上前から整備工場をしていますし、カーコンビニ倶楽部もやっていますので、ディフェンダー以外の車の入庫もあります。というよりも台数的にはそちらの方がはるかに多いです。
 先日もヴィッツのドアが凹んでしまった車が入庫しました。結構年式の新しい車でしたが、大変運のよいことに同色のドアが中古で見つかり、新品に比べれば1/3以下の金額で修理が可能でした。早速、そのドアを取寄せたのですが、発注後にお客様から部品の正確な納期の問い合わせがありました。
 
 私は「部品は東北から来るので3日ほどかかるそうです」と回答したのですが、さらにどこの県から来るのかと聞かれました。調べると発送元は福島県です。すると、部品が届いた本日、キャンセルをしたいとの連絡がありました。しっかりスチーム等で洗浄してから取り付けるというご提案もしましたが、どうしてもということでした。中古部品はキャンセルできないことはご理解いただいて、部品代は頂いたので当社に損害はないのですが、何ともやりきれない気持ちです。
 
 ご結婚された娘さんの車の修理という事でしたので、心配なのも分かります。聞きませんでしたが、お孫さんもいらっしゃるのかもしれません。そうなれば、どんな小さな可能性でも排除したくなるお気持ちも十分理解できます。
 お客様は正直に産地?を言ったということで感謝していただきましたが、私には福島から来たということがマイナスになるという感覚がありませんでした。もう少し気をつけておくべきだったのかもしれませんが、食品ならまだしも、車の中古パーツですので・・・

 花火だったり、松明だったり、同様のニュースを時々耳にしていましたが、まさか自分の周りでこんな事が起こるとは思ってもいませんでした。ニュースで見るだけならば、大げさな拒絶反応をする人たちに憤りを感じるだけでした。しかし、身近で直接話を聞けば、過剰反応だと自覚して、被災地の方に申し訳ないと思いながらも、それでも家族の事を思えば受け入れられないという実情が見えてきます。お気楽独身の私には、お客様を責める事はできません。

今日はなんともモヤモヤして一日過ごしました。

 不要になった部品は、商品代を頂いているので、普通に転売するのもなんだか気がひけますし、捨てるのももったいない。ということで、事情も考えて落札額全額寄付のチャリティ出品させていただく事にしました。もしヴィッツのドアを探しているという方がいらっしゃいましたらご協力ください。